計測と制御 Vol.62. No.5
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特集:システムの性能および安全性評価に向けた試験方法−実世界動作・作業のための基盤技術の標準化への取り組み−
近年,ロボット分野や人工知能分野において研究開発された技術を基盤としたシステムを,日常生活の支援や安全安心な社会の実現,新しいサービスの提供等のために社会実装をおこなう取り組みが進められている.ユーザーがシステムの利活用,導入を検討する際には,想定する使い方,サービスに関して充分な性能を持つものや比較的優れた性能を持つものを客観的かつ容易に把握,確認できることが重要である.
一方で,一般的にシステムは要素技術が統合されて構成,構築されていることから,一口にシステムの性能といっても,内在する要素,処理系の複合的な関与によって機能しているため,単純なスペック表等で判断することが容易ではない場合がある.
このような背景から,現在システムの持つ機能の特徴を明らかにするための性能評価法の開発が,現在各分野で進められている.性能評価法の開発は,適切な設計・設定を行うためには,ユーザーとメーカーを巻きこんだ議論,推進が必要不可欠となってくるが,それが成されることで活用ニーズを意識した技術の高度化すべき方向を模索していくことにもつながっていくと考えられる.さらにいえば,性能試験手法の開発は,新しいシステムの性能が既存システムの性能に対してどのような点で優位であるか客観的に示すため,また,本来の研究開発対象としていた作業およびサービス以外への技術応用可能性を見出すため,の物差しとして機能することが期待できる.
性能評価法は,対象とするシステムやアプリケーションによって様々な設計アプローチや扱うべき事項があることから,本特集号では,ロボット分野や人工知能分野の技術を基盤とするシステムの性能評価手法についての具体的な取り組みについての話題を集め,各取り組みのモチベーションや設計のアプローチ/考え方,開発状況/動向,今後の展開等について広く紹介することを目的とする.本特集記事により,システムや技術の研究開発や社会実装,当該分野の技術動向に関心を持つSICE会員が性能評価手法の考え方,開発動向について知る有益な機会になると考えられるとともに,性能評価手法開発に関心を持っていただく機会になると考える.
計測と制御 Vol.62 No.5 目次
特集 システムの性能および安全性評価に向けた試験方法−実世界動作・作業のための基盤技術の標準化への取り組み−