計測と制御 Vol.59. No.8
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特集 制御理論とデータ駆動科学で挑む流体制御・流体観測
流体現象の制御は,その工学的な需要から古くから研究が行われており,物体形状を工夫するなど受動的な制御方法が主として利用される一方で,MEMS 技術をはじめとするアクチュエータ・センサ技術の発展に伴い十数年前より流れ場の能動的なフィードバック制御が検討されてきた.しかしながら,流体現象のダイナミクスのモデルは複雑な偏微分方程式であり,モデルに基づく理論的な制御器設計は容易ではない.近年,観測技術や CFD 技術の発展により,流れ場のデータが実験や数値シミュレーションを通して非常に高い精度で豊富に入手できるようになり,さらに,大規模のデータを扱うためのデータ駆動科学のツールも整ってきた.これにより,得られた流れ場データに基づく解析モデルの構築や,フィードバック制御則設計,センサー位置最適化が可能となっている.本特集号では,流体制御・流体観測について,制御理論とデータ駆動科学の二つの側面から最先端の結果を紹介することを目的とする.
計測と制御 Vol.59 No.8 目次
[リレー記事] 「FACE the future」《第20回》歯ぐき血流の「見える化」によるヘルスケアを目指して
大杉 侑子(花王)
特集 制御理論とデータ駆動科学で挑む流体制御・流体観測
[総論] 流体制御・観測への制御理論とデータ駆動科学からのアプローチ
野々村 拓(東北大),椿野 大輔(名古屋大)
[解説] 熱流体システムへの最適制御理論の応用
長谷川 洋介,亀谷 幸憲,中倉 満帆,伊藤 宗嵩 (東京大)
[解説] 遅延フィードバック制御法による流れ場制御
小河原 加久治(山口大)
[解説] ビッグデータ同化:気象学における先端データ同化研究
三好 建正 (理化学研)
[解説] モデル予測制御と回帰分析に基づく流体場のフィードバック制御器設計
佐々木 康雄,椿野 大輔(名古屋大)
[解説] 画像データを用いたスロッシングのフィードバック制御
酒井 悟,宇城 友貴(信州大)
[解説] データ駆動型スパースセンシングのためのセンサ位置最適化
齋藤 勇士,野々村 拓,浅井 圭介(東北大)
[解説] 流れの最適制御のための強化学習
久保 晃,成川 航祐,清水 雅樹(大阪大)
[解説] 機械学習を用いた乱流ビッグデータ解析に向けて
深潟 康二,深見 開(慶應大)
[新人研究者によるサーベイ報告] 広帯域電磁波計測のための計量標準と非破壊検査への応用に関する調査研究
松川 沙弥果(産総研)
[新人研究者によるサーベイ報告] 水銀の三重点を利用しない温度目盛の実現に関する調査研究
河村 泰樹(産総研)
[新人研究者によるサーベイ報告] 食品中ネオニコチノイド系農薬類分析の技能試験に関する調査研究
中村 圭介(産総研)
[新人研究者によるサーベイ報告] 気中粒子の個数基準粒径分布測定と標準に関する調査研究
村島 淑子(産総研)
[編集後記] 椿野 大輔(名古屋大)