計測と制御 Vol.59. No.5
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(掲載から1年は計測自動制御学会 会員の方のみ)
特集 LiDARとLidar
― Hard TargetとSoft Targetを計測する技術と課題 ―
車載用ライダー(LiDAR)が多く取りざたされている.街並みそのものの3Dデータ収集から安全のための周辺監視,さらには自動操縦,制御のアシスト等その利用と普及は広がっている.一方,レーザの発明以来,大気や特定ガス,風等の気象因子を遠隔で計測する技術としての気象用ライダー(Lidar)もミー散乱,レイリー散乱,差分吸収,ドップラーと適用範囲を広げて発展している.これら2つのライダーはそれぞれ違う観点で発展して来たため,お互いに共通するTime of Flightの測定でありながら,機器構成から計測範囲,課題がそれぞれ異なっている.
Hard Target用ライダーとしては車載用の他にも建築,構造物の測定を対象としたライダー技術が挙げられる.また,はやぶさで話題になった距離計-Range Finder-としての応用も範疇に含まれる.機器の小型化や低消費電力化,さらには低価格化への挑戦や応用,さらにはデータ処理の発展が見込まれる.
一方のSoft Target用ライダーとしての気象計測に関しては国立環境研究所の黄沙予報(偏光ライダー),ならびに空港でダウンバーストを計測するドップラーライダーがすでに実用されている.レーザ光出力が大きい故の,測定値の安定性や寿命,メンテナンスへの工夫や課題が見込まれる.
特集では2つのライダーの観点で,改めてその原理,発展と課題を俯瞰するとともに,将来の指針を見出すことを目的とする.
計測と制御 Vol.59 No.5 目次[リレー記事] 「FACE the future」《第17回》ヒューマンセントリックAIによる実社会データからの価値創出
小川 貴弘(北海道大)
特集 LiDARとLidar-Hard TargetとSoft Targetを計測する技術と課題-
[総論] LiDARとLidar 研究・技術の攻勢と融合
椎名 達雄(千葉大)
[解説] 「はやぶさ2」レーザ高度計に搭載された測距以外の動作モードについて
千秋 博紀(千葉工大),押上 祥子(JAXA),小林 正規(千葉工大),山田 竜平(会津大),石原 吉明(国立環境研),野田 寛大(国立天文台/総研大),國森 裕生(NICT),竝木 則行(国立天文台/総研大),水野 貴秀(JAXA)
[解説] LIDARデータを用いた探査機軌道推定
平田 成(会津大)
[解説] 自動車の自動運転におけるLiDARの活用
大前 学(慶應大)
[解説] 車載用LiDARの小型高感度化
井上 大介(豊田中研)
[解説] 位相差方式TOFセンサと車両・車軸検知応用
今城 勝治,吉永 秀雄,亀山 俊平(三菱電機)
[解説] 森林モニタリングのためのレーザー技術
加藤 顕(千葉大)
[解説] 蛍光ライダーの原理・トレンド・展開
齊藤 保典(信州大)
[解説] 大気エアロゾル観測用ライダー技術の展開
杉本 伸夫(国立環境研)
[解説] 差分吸収ライダーによる大気中微量ガス分布計測
柴田 泰邦(都立大)
[解説] 気象観測用ドップラーライダーの原理と応用
田中 久理,今城 勝治,廣澤 賢一,柳澤 隆行,亀山 俊平(三菱電機)
[事例紹介] 青色LDを用いた水中LiDARによる水中計測
島田 雄史,鈴木 謙一(トリマティス)
[事例紹介] シーロメータ(光学式雲底高度計)の活用事例
櫻井 元樹(アイ・アール・システム)
[事例紹介] スキャニングライダの紹介
平方 宏治(英弘精機)
[事例紹介] ライダーを用いたエアロゾルのリアルタイム観測
板谷 庸平(柴田科学)
[編集後記] 椎名 達雄(千葉大)