計測と制御 Vol.57. No.02
表紙
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(掲載から1年は計測自動制御学会 会員の方のみ)
特集 わ:「環」を以て「輪」を為し「和」を創る
IFAC (International Federation of Automatic Control) の最大イベントで3年ごとに開催される IFAC World Congress が2023年7月に横浜で開催される。日本での開催は、1981年の京都での開催以来42年ぶりである。このIFAC 2023のメインテーマは「Wa: Harmony with Traditional Culture and Innovative Technology」である。その意図するところは、日本固有の「和」の文化と先端科学技術の調和を通して、環境・エネルギー・災害・健康といったさまざまな地球規模の社会的課題解決(別の言い方をすれば、Society 5.0の実現)を広い意味のシステム制御の革新によって目指すことである。
会議の成功のためには、このコンセプトを具体的に進めていく必要があり、IFAC 2023準備委員会ではそれに向けた活動を開始している。その議論の中で、自然環境と人間社会の適切な相互作用(フィードバック)をなす SoS の系統的設計のためのシステム理論の構築とそれを実現するシステム化技術の確立が重要であるという認識に至り、「わ」の概念をブレークダウンし『わ:「環」を以て「輪」を為し「和」を創る』というという形で展開することとした。その意味は、輪(Community)に対して、環(Feedback)を適切に設定し、和(Harmony)を実現するという3つの「わ」をコンセプトにもつ新しい科学技術の推進である。
本特集は、この議論に参加したメンバーを中心に、7つの解説記事(通常の解説とは異なり、これから何をなすべきかに焦点を当てたもの)、3つのIFACに関連する活動紹介とIFAC 2023に期待するメッセージからなる。