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特集 わ:「環」を以て「輪」を為し「和」を創る

IFAC (International Federation of Automatic Control) の最大イベントで3年ごとに開催される IFAC World Congress が2023年7月に横浜で開催される。日本での開催は、1981年の京都での開催以来42年ぶりである。このIFAC 2023のメインテーマは「Wa: Harmony with Traditional Culture and Innovative Technology」である。その意図するところは、日本固有の「和」の文化と先端科学技術の調和を通して、環境・エネルギー・災害・健康といったさまざまな地球規模の社会的課題解決(別の言い方をすれば、Society 5.0の実現)を広い意味のシステム制御の革新によって目指すことである。

会議の成功のためには、このコンセプトを具体的に進めていく必要があり、IFAC 2023準備委員会ではそれに向けた活動を開始している。その議論の中で、自然環境と人間社会の適切な相互作用(フィードバック)をなす SoS の系統的設計のためのシステム理論の構築とそれを実現するシステム化技術の確立が重要であるという認識に至り、「わ」の概念をブレークダウンし『わ:「環」を以て「輪」を為し「和」を創る』というという形で展開することとした。その意味は、輪(Community)に対して、環(Feedback)を適切に設定し、和(Harmony)を実現するという3つの「わ」をコンセプトにもつ新しい科学技術の推進である。

本特集は、この議論に参加したメンバーを中心に、7つの解説記事(通常の解説とは異なり、これから何をなすべきかに焦点を当てたもの)、3つのIFACに関連する活動紹介とIFAC 2023に期待するメッセージからなる。

目次

特集 わ:「環」を以て「輪」を為し「和」を創る
[総論] 「わ」で拓くシステム制御の新展開
淺間 一(東京大),石井 秀明(東工大),原 辰次(中央大)
[解説] 「わ」のコンセプトに基づく新しいシステム理論構築に向けて
原 辰次(中央大)
[解説] 人と機械の共創による活力ある社会技術システムのデザイン
椹木 哲夫(京都大)
[解説] 「水」大循環による環境システム設計とシステム開発
高橋 桂子(海洋研)
[解説] 調和型超スケールエネルギー管理システム理論の構築に向けて ―道路交通システムと電力システムを例に―
井村 順一(東工大/CREST)
[解説] 超レジリエンスのためのロボット技術
淺間 一(東京大),倉林 大輔(東工大)
[解説] サイバーセキュアシティを支えるシステム
石井 秀明(東工大/CREST)
[解説] Smart Cityをめぐる国際標準化と日本の役割
河野 通長(ミチクリエイティブシティデザイナーズ/日大)
[活動紹介] IFAC ならびに IFAC Japan NMOの活動
淺間 一(東京大),原 辰次(中央大)
[活動紹介] 自動制御連合講演会の歩みと役割
水野 毅(埼玉大),井村 順一(東工大)
[活動紹介] アジア諸国との連携
木村英紀(早稲田大),Wook Hyun KWON (Seoul National Univ.),水野 毅(埼玉大)
[学界だより] IFAC World Congress 2017報告
井上 正樹(慶應大)
[学界だより] IFAC 2023への期待(アジア諸国からのメッセージ)
原 辰次(中央大)
[学界だより] SICE Annual Conference 2017 (SICE 2017)
山本 茂(金沢大)
[部門だより] 第34回センシングフォーラム 計測部門大会報告
原田 博之 (熊本大)
[編集後記]
岡島 寛(熊本大)