2020年度計測自動制御学会 学会賞の贈呈
2020年度計測自動制御学会 学会賞贈呈のため,田中敏幸氏を委員長とする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞6件,技術賞3件,著述賞2件,新製品開発賞1件が推薦され,理事会にて決定された.
《論文賞・6件》
○論文賞・蓮沼賞
「GNSSドップラを活用した都市部におけるレーンレベル位置推定の実現」
(SICE 論文集 Vol.55, No.11で発表)
名城大学・荒川拓哉君,高野瀬碧輝君,滝川 叶夢君,目黒淳一君
○論文賞・武田賞
「連続時間ADMMの提案と受動性に基づく収束性解析」
(SICE 論文集Vol.55, No.4で発表)
(株)豊田中央研究所/東京工業大学・宮野竜也君,東京工業大学・山下駿野君, 大阪大学・畑中健志君,
(株)豊田中央研究所・柴田一騎君,神保智彦君,
東京工業大学・藤田政之君
○論文賞
「PWM型入力サンプル値系における多入力厳密線形化法」
(SICE論文集Vol.54, No.2で発表)
宇都宮大学・鈴木雅康君,平田光男君
○論文賞・友田賞
「ヒューマンサービスにおけるサービス提供者の異動影響分析-組織サイバネティクスと計算組織理論に基づいたシミュレーション方法論の提案-」
(SICE論文集Vol.55, No.10で発表)
岩手県立大学・後藤裕介君,大阪府立大学・森田裕之君,大東文化大学・白井康之君
○論文賞
「アクチュエータの弱さによる跳躍安定化メカニズム」
(SICE 論文集 Vol.55, No.4で発表)
大阪大学・田中颯樹君,増田容一君,石川将人君
○論文賞
「FDT2 Based FlowConfiguration Software on IIoT Environment」
(SICE JCMSI Vol.12, No.4で発表)
Yokogawa Electric Corporation・Akio ITO 君,Yokogawa Engineering Asia, Singapore・Jason Sin Wai CHAN 君
《技術賞・3件》
○技術賞
「高炉溶銑温度制御ガイダンスの実用化」
(SICE第6回制御部門マルチシンポジウム,ほかで発表)
JFEスチール(株)・橋本佳也君,JFEテクノリサーチ(株)・澤 義孝君,京都大学・加納 学君,
JFEスチール(株)・北村洋平君,大橋知弘君,
岡本悠揮君,海瀬達哉君,益田稜介君
○技術賞
「紫外線検知式火炎検出センサの感度波長調整技術の開発」
(azbil Technical Review(2018.4),ほかで発表)
アズビル(株)・片桐宗和君,中島有紀君,住吉啓介君,簗田菜々子君
○技術賞
「情報物理セキュリティを具現化したUSBメモリ消去装置の開発と製品化」
(Proceedings of the SICE Annual Conference 2018,ほかで発表)
横河電機(株)・新井貴之君,仲矢 実君
(株)アルテクス・宇野智貴君,坂本大輔君
《著述賞・2件》
○著述賞
「実習で学ぶ モデルベース開発-『モデル』を共通言語とするV字開発プロセス-」(2018年・コロナ社)
山本 透君(編著)
脇谷 伸君,原田靖裕君,香川直己君,足立智彦君,沖 俊任君,原田真悟君(著)
○著述賞
「基礎からわかる 自動車エンジンのモデルベースト制御」(2019年・コロナ社)
金子成彦君(監修),山﨑由大君(編著)
大森浩充君,平田光男君,水本郁朗君,一柳満久君,
松永彰生 君,神田智博君(共著)
《新製品開発賞・1件》
○新製品開発賞
「流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVALTM」
アズビル株式会社 殿
受賞者略歴および受賞論文概要
(論文賞・蓮沼賞)
あらかわ たくや
荒川拓哉 君(正会員)
2019年名城大学大学院理工学研究科修士課程修了.衛星測位を用いた車両位置推定に関する研究に従事した.現在,アイサンテクノロジー株式会社勤務.自動運転に利用する自己位置推定に関する研究業務等に従事する.
たかのせ あおき
高野瀬碧輝 君(学生会員)
2018年,名城大学理工学部メカトロニクス工学科卒業.現在,名城大学理工学研究科メカトロニクス工学専攻科に所属し,GNSSと車両運動を統合した絶対値推定の精度向上に関する研究に従事する.
たきかわ かなむ
滝川叶夢 君(学生会員)
2018年名城大学理工学部メカトロニクス工学科卒業.現在,名城大学理工学研究科メカトロニクス工学専攻所属.衛星測位を活用した車両運動の最適化及び絶対位置推定の高精度化に関する研究に従事する.
めぐろ じゅんいち
目黒淳一 君(正会員)
2008年早稲田大学理工学研究科博士課程修了.博士(工学).同年株式会社豊田中央研究所勤務.2017年より,名城大学理工学部メカトロニクス工学科准教授.移動体に適用する運動/位置推定,及び地図生成/更新に関する研究に従事する.日本ロボット学会,自動車技術会,IEEE会員.
受賞論文「GNSSドップラを活用した都市部におけるレーンレベル位置推定の実現」
本研究では,GNSSドップラにより推定した車両軌跡の精度が高いことを利用し,衛星の環境が劣化する都市部においても,車両運動をロバストに推定し,さらにGNSSの測位結果を選定することで,位置精度を向上可能な手法の提案を行った.提案する手法は,意図的に受信機の時計誤差の変動を推定しないことにより,長距離(数100m)の軌跡を利用可能にし,平均化の効果により,位置推定精度を向上可能な特徴を持つ.評価試験では,低コストなGNSSとMEMS IMUを用いつつも名古屋駅付近の高層ビル街において,2DRMSが0.9mとなることを確認し,提案手法の有効性を確認した.
(論文賞・武田賞)
みやの たつや
宮野竜也 君(正会員)
2009年東京工業大学大学院理工学研究科博士前期課程修了.同年,株式会社豊田中央研究所入社,2017年東京工業大学工学院システム制御系博士後期課程入学,2019年トヨタ・モーター・ノース・アメリカ株式会社出向,現在に至る.分散最適化および複数ロボットによる協調作業の研究に従事.2010年SICE制御部門研究奨励賞,2018年同制御部門大会技術賞,2020年度同論文賞,2020年度同武田賞を受賞.
やました しゅんや
山下駿野 君(学生会員)
2019年東京工業大学工学院システム制御系博士前期課程修了.同年同大学工学院システム制御系博士後期課程入学,現在に至る.分散最適化および意思決定プロセス解析の研究に従事.2018年度日本機械学会三浦賞,2020年度SICE制御部門研究奨励賞,2020年度SICE武田賞,2020年度同論文賞を受賞.日本機械学会,IEEE CSSの学生会員.
はたなか たけし
畑中健志 君(正会員)
2007年京都大学大学院博士後期課程修了.同年より東京工業大学助教,2015年より同准教授,2018年より大阪大学准教授,2020年より東京工業大学工学院准教授となり現在に至る.Cyber-Physical & Human Systemsの研究に従事.Passivity-Based Control and Estimation in Networked Robotics(Springer)およびマルチエージェントシステムの制御(コロナ社)の著者.博士(情報学).2017年SICE制御部門木村賞,2014年同パイオニア賞,2018年制御部門大会賞,2016年SICE著述賞,同武田賞(2020),同論文賞(2009,2015,2020),2015 Asian Control Conference Best Paper Prize Awardなどを受賞.IEEE TCSTのAssociate Editor.IEEE CSS Conference Editorial Board Member.IEEE Senior Member.
しばた かずき
柴田一騎 君(正会員)
2014年東京大学大学院工学研究科博士前期課程修了.同年,(株)豊田中央研究所入社,2020年奈良先端科学技術大学院大学情報科学領域博士後期課程入学,現在に至る.機械学習を用いたマルチエージェントの制御に関する研究に従事.2017年度SICE学術奨励賞,2018年同制御部門大会技術賞,2020年度同論文賞,2020年度同武田賞を受賞.日本航空宇宙学会,日本ロボット学会の会員.
じんぼ ともひこ
神保智彦 君(正会員)
2002年名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程修了.同年, 株式会社豊田中央研究所入社,2010年名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程修了,現在に至る.自動車エンジンのモデリング,制御および機械学習,車両と構造物の機械学習によるヘルスモニタリングと最適設計,エアリアルロボットの制御と能動学習,マルチロボットシステムの分散制御,生物模倣制御および強化学習に関する研究に従事.SICE学術奨励賞(2007),同制御部門大会賞(2017),同制御部門大会技術賞(2018, 2019),同論文賞(2009, 2019, 2020),同武田賞(2020),IFAC World Congress Applications Paper Prize as one of five finalists(2008)を受賞.工学博士.
ふじた まさゆき
藤田政之 君(正会員,フェロー)
1984年早稲田大学大学院博士前期課程修了.85年同後期課程中退.金沢大学,北陸先端科学技術大学院大学,東京工業大学を経て,2020年東京大学教授.同年SICE副会長.12年JST CREST研究総括.IEEE CSS Vice President,Board of Governor,MSC General Chair,CDC Plenary Lecturer,Distinguished Lecturer,SICE理事,制御部門長,IEEE TAC,IEEE TCST,Automatica のAssociate Editor,SICE JCMSI Editor などを歴任.IEEE TCST Outstanding Paper Award,SICE教育貢献賞,論文賞など受賞.ネットワーク化された自律システム,受動性に基づく協調制御,ロバスト制御などの研究に従事.IEEE フェロー.工学博士.
受賞論文「連続時間ADMMの提案と受動性に基づく収束性解析」
Alternating Direction Method of Multipliers (ADMM)は,双対分解および拡張ラグランジアン法の利点を併せ持つ,凸計画問題に対する解法である.そのため,機械学習やシステム制御の分野において扱われる諸問題との親和性が高く,当該分野において盛んに研究されている.本論文では,目的関数が必ずしも狭義凸ではない一般的な凸計画問題を考え,通常離散ステップで値を更新するADMMを連続時間ダイナミクスとして捉えた,最適化アルゴリズムを提案した.また,提案アルゴリズムの受動性を明らかにし,それに基づいて収束性を証明した.さらに,複数ロボットによる環境監視問題の数値シミュレーションを行い,提案アルゴリズムの有効性を示した.
(論文賞)
すずき まさやす
鈴木雅康 君(正会員)
2010年名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程修了.同年東京工業大学特別研究員・科学技術振興機構研究員,2013年より宇都宮大学助教となり現在に至る.動的システムの解析・制御,およびその産業応用に関する研究に従事.博士(工学).システム制御情報学会,電気学会,IEEEなどの会員.
ひらた みつお
平田光男 君(正会員)
1996年千葉大学大学院自然科学研究科修了.同年千葉大学助手,2004年宇都宮大学助教授,2007年同准教授,2013年同教授,現在に至る.2002~2003年カリフォルニア大学バークレイ校機械工学科客員研究員.ロバスト制御,ナノスケールサーボ制御,およびそれらの産業応用に関する研究・教育に従事.博士(工学).システム制御情報学会,電気学会,IEEEなどの会員.
受賞論文「PWM型入力サンプル値系における多入力厳密線形化法」
本論文では,高さは固定で数と幅長が可変である矩形パルス列を入力としてもつパルス幅変調(PWM)型入力系を扱う.PWM型入力系のサンプル点上での振る舞いは非線形的であるためその扱いは一般に難しく,特に精密制御を目的とする制御系設計において,PWM型入力の採用はしばしば問題視されてきた.しかしながら,実はこの非線形性はパルスの前縁/後縁のタイミングを調節することで消去でき,サンプル点上の振る舞いを単入力線形系のそれに一致させられることが近年明らかにされている.これは,離散時間系の入力項の取り得るベクトル値の集合が凸であるという事実に基づくが,本論文では,その凸性の利用を一歩進めて,離散時間系を多入力線形系に厳密変換する方法を提案した.
(論文賞・友田賞)
ごとう ゆうすけ
後藤裕介 君(正会員)
2009年早稲田大学大学院理工学研究科助手規定により退学.2008年早稲田大学理工学術院助手,2010年岩手県立大学ソフトウェア情報学部専任講師,2014年同学部准教授,現在に至る.社会シミュレーションの研究に従事(博士(工学)).経営情報学会,人工知能学会,システム制御情報学会,日本経営工学会,PAAA各会員.
もりた ひろゆき
森田裕之 君(正会員)
1997年神戸商科大学大学院経営学研究科経営情報科学専攻単位取得退学.1997年大阪府立大学経済学部経営学科専任講師,2011年同学部教授,2012年組織改編により,現代システム科学域知識情報システム学類教授,現在に至る.データマイニングのビジネス応用に関する研究に従事(博士(経営情報科学)).人工知能学会,情報処理学会,経営情報学会,組織学会などの会員.
しらい やすゆき
白井康之 君(正会員)
1989年東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻修士課程修了.(株)三菱総合研究所,新世代コンピュータ技術開発機構,JST ERATO研究員等を経て2015年大東文化大学経営学部准教授,2020年同学部教授,現在に至る.機械学習,データマイニング等の研究に従事(博士(工学)).人工知能学会,情報処理学会,経営情報学会,日本マーケティング・サイエンス学会各会員.
受賞論文「ヒューマンサービスにおけるサービス提供者の異動影響分析-組織サイバネティクスと計算組織理論に基づいたシミュレーション方法論の提案-」
人対人のサービスが中心となるヒューマンサービスにおいては,顧客は店舗よりむしろサービス提供者に対してロイヤルティを抱くという特徴がある.このため,サービス提供者の離職や所属店舗の変更などの異動は経営に重大な影響を及ぼしうる.そこで,本論文では組織サイバネティクスに用いたヒューマンサービスのサービス提供者異動影響のシミュレーション方法論を開発した.方法論は,ヒューマンサービス提供企業を組織サイバネティクスと計算組織理論の枠組みでモデル化し,顧客精算データを用いた生存時間解析に基づき,環境の多様度を表す顧客類型ごとの来店状況と各類型に対する能力が異なるサービス提供者の構成との関係性から,サービス提供者異動の影響を分析するものである.方法論の適用事例として,ヘアサロン企業を対象とした分析結果を紹介している.
(論文賞)
たなか さつき
田中颯樹 君(学生会員)
2018 年大阪大学工学部応用理工学科機械工学科目卒業.2020年大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻博士前期課程修了.同年,株式会社キーエンスに入社し,現在に至る.
ますだ よういち
増田容一 君(正会員)
2019年大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻博士後期課程修了 ,博士(工学).同年大阪大学大学院工学研究科助教となり,現在に至る.移動ロボットなどの研究に従事.システム制御情報学会,日本ロボット学会 ,日本機械学会, IEEEなどの会員.
いしかわ まさと
石川将人 君(正会員)
2000 年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程修了,博士(工学).同大学助手,東京大学助手,京都大学講師を経て,2010 年大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻准教授,2014 年より同教授となり現在に至る.非線形制御,非ホロノミック系,ロボティクスなどの研究に従事.システム制御情報学会,日本ロボット学会,日本機械学会,IEEE などの会員.
受賞論文「アクチュエータの弱さによる跳躍安定化メカニズム」
筆者らは,センサやコントローラなど計算機の類を一切用いない「無脳」なロボットが適応的な跳躍パターンを発現する現象を発見し,その非線形力学解析を行った.ロボットの身体各部を周期的に駆動するアクチュエータに外力が加わると,外力に押し負けることでアクチュエータの位相が進んだり遅れたりしてしまう.本研究では,この位相変化を逆手にとることでフィードバック制御則として活用した.ロボット実験では,センサや明示的なコントローラを用いることなく,DC モータに定電圧を印加するだけで定常跳躍運動(リミットサイクル)に収束すること,また印加電圧を増加させると2 周期運動に分岐することなどを実機実験およびシミュレーションによって示した.この現象を,印加電圧をパラメータとした2 周期運動およびカオスへの遷移過程として詳細に解析するとともに,アクチュエータが「弱い」(たとえば減速比が低い,電機子抵抗が大きい)ほど,周期運動の自己安定性が高いことを示した.さらに,脚部の質量を十分小さいとみなした1 質点近似モデルを構築し,周期運動のPoincar{\ecute{e}}写像の数値解析を通して跳躍現象の安定化メカニズムを解析した.
(論文賞)
Mr. Akio ITO(Member)
He graduated from the University of Tokyo and jointed Yokogawa Electric Corporation in 1983. His responsibility in Yokogawa had been industrial robot research and development, LSI test system development, field device development and business planning. He is now responsible for research of industrial network as an adjunc researcher in Research Institute for Science and Engineering, Waseda University. He is serving as a FDT Group Asia Pacific Marketing Chair. He was the Chair of SICE Technical Committee on Instrument & Control Networks and the Head of the Technical Division of Industrial Applications. He received the SICE Young Researcher's Award in 1983, SICE Technology Award in 2018. His interests are in sensors and industrial communication.
Mr. Jason Sin Wai CHAN(Member)
He graduated from Nanyang Technological University of Singpore in 2008 and received a Bachelor Degree in Computer Engineering before joining Yokogawa Engineering Asia. He also received the master’s degree in Knowledge Engineering from National University of Singapore in 2013. He received the SICE Technology Award in 2018. His interests are in sensors and industrial communication.
受賞論文「FDT2 Based FlowConfiguration Software on IIoT Environment」
This paper presents flow configuration software enhancement on the industrial internet of things (IIoT) environment using field device tool (FDT) ver. 2 (FDT2) technology. FDT (IEC62453) is a technology which allows integration of devices and networks to engineering tools. IIoT is emerging rapidly in the market and field devices play an important role in IIoT. We had realized accurate mass flow measurement for mutivariable transmitter and voltex flow meter integrating the host system functionality into the field devices, where the host system manages flow measurement application which conforms to the FDT standard. In this paper, we firstly explains the detailed implementation of flow measurement application as a device type manager (DTM) which conforms to the latest FDT2 standard, which decouples the DTM user interface and the DTM business logic. The focus of this paper is to exhibit how FDT2 business logic components are preserved for IIoT enhancement and how easily IIoT environment is realized. We show the value of this development by explaining the effectiveness of IIoT use cases. The FDT IIoT server (FITS) and the reference architecture model Industrie 4.0 (RAMI 4.0) relation analysis is done to prove its effectiveness. We confirmed a dramatical change of field device management work by each use case analysis which covers a variety of end-user requirement. Decoupling the DTM user interface and DTM business logic means that digital data produced in DTM business logic is transformed appropriately according to each end-user scenario. We decoupled flow measurement application extended functionality, and it means that achievement in developing key technologies for an asset management tool that makes full use of IIoT to measure mass flow.
(技術賞)
はしもと よしなり
橋本佳也 君
2009年 東京大学大学院新領域創成科学研究科(物質系専攻)修了.同年,JFEスチール入社,鉄鋼プロセスの上工程における制御系の研究開発に従事.2019年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻修了,博士(情報学).日本鉄鋼協会の会員.
さわ よしたか
澤 義孝 君
1985年名古屋大学大学院工学研究科鉄鋼工学専攻(修士課程)修了.同年,川崎製鉄(株)(現 JFEスチール(株))に入社.現在は関連会社のJFEテクノリサーチ(株)に所属.一貫して,鉄鋼製造における上工程の研究開発に従事.
かのう まなぶ
加納 学 君(正会員)
1994年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了.同年同助手.2004年同助教授,2012年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻教授,現在に至る.2018年大学発医療AIベンチャーのクアドリティクス株式会社を創業,COOに着任.プロセスデータ解析・プロセス制御,生体・医療情報処理,第一原理モデル自動構築AIなどに関する研究開発と社会実装に従事.博士(工学).
きたむら ようへい
北村洋平 君
2012年東京工業大学大学院 理工学研究科 修士課程修了.2012年JFEスチール株式会社入社,現在に至る.高炉操業,技術開発等に従事.
おおはし ともひろ
大橋知弘 君
2015年大阪大学大学院工学研究科修士課程修了.2015年JFEスチール株式会社入社,現在に至る.高炉操業,スラグ処理の技術開発等に従事.
おかもと ゆうき
岡本悠揮 君
1987年生まれ.2013年名古屋大学大学院工学研究科(機械システム工学専攻)修士課程修了.2013年JFEスチール株式会社入社.西日本製鉄所福山地区製銑部製銑工場配属.2020年JFEスチール株式会社 西日本製鉄所福山地区製銑技術室 主任部員.現在に至る.
かいせ たつや
海瀬達哉 君
2014年 大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻修士課程修了.2014年 JFEスチール 入社 製銑部製銑工場配属.現在に至る.
ますだ りょうすけ
益田稜介 君
2017年東京大学工学系研究科修士課程修了.同年JFEスチール株式会社に入社し,現在に至る.製銑・製鋼のプロセス制御の研究に従事.日本鉄鋼協会の会員.
受賞論文「高炉溶銑温度制御ガイダンスの実用化」
製鉄業における溶鉱炉(以下,高炉と記す)では,依然としてオペレータによるマニュアル操業が実施されている.プロセス自動化による高効率かつ安定な操業の実現を目指して,本開発では炉底部から排出される銑鉄(溶銑)の温度を制御するための操業ガイダンスシステムの実用化をおこなった.高炉プロセスは熱容量が大きく操業アクションの即効性が弱いため,溶銑温度の将来予測に基づいた適切なアクションが必要である.このような技術課題に対して,本開発では (1) 炉内反応や伝熱現象を考慮した高炉物理モデルを新たに構築し,(2) Moving Horizon Estimationに基づき,物理モデルのパラメータを自動調整することで原料変化等の外乱影響をモデル計算に適切に取り込み,(3) 非線形モデル予測制御による8時間先予測に基づいた操業ガイダンスシステムを構築し,実プラントにおける溶銑温度のばらつき低減効果を実証した.
(技術賞)
かたぎり むねかず
片桐宗和 君
神戸大学工学部応用化学科卒.2000年 (株)山武(現 アズビル(株))入社.入社以来,材料分析,機器分析業務を経て,生産技術開発業務に従事.
なかしま ゆき
中島有紀 君
2011年東北大学大学院工学研究科修士課程修了.同年 (株)山武(現 アズビル(株))入社.入社以来,火炎検出センサ等の生産技術開発業務に従事.
すみよし けいすけ
住吉啓介 君
東海大学工学部電子工学科卒.1990年 山武ハネウエル(株)(現アズビル(株))入社.入社以来,制御機器,火炎検出器の開発業務に従事.
やなだ ななこ
簗田菜々子 君
1991年湘北短期大学電子工学科卒.同年 山武ハネウエル(株)(現アズビル(株))入社.入社以来,制御機器,火炎検出器の開発業務に従事.
受賞論文「放電管紫外線検知式火炎検出センサの感度波長調整技術の開発」
放電管式火炎検出センサでは,紫外線受光面であるカソード電極の仕事関数により感度波長が決定される.仕事関数とは,固体内にある電子を真空中に取り出すために必要な最小限のエネルギーの大きさのことであり,その材質や表面の結晶方位に依存することが知られている.本論文では,金属種の選択,圧延や成膜,熱処理による結晶方位の調整に加え,カソード電極表面における2種の金属の拡散を利用することにより,仕事関数の微調整が可能であることを示した.今回開発を行った仕事関数の調整技術により,火炎検出センサの検出感度波長の調整が可能となり,特殊燃料を燃焼させた場合の火炎検知が可能となった.仕事関数の調整は、火炎センサのみならず,様々な分野での応用が期待できる.
(技術賞)
あらい たかゆき
新井貴之 君
1996年東京商船大学(現東京海洋大学)大学院航海学研究科修士課程修了,同年より横河電機(株)に勤務.制御システム製品開発業務・インターネットセキュリティ関連研究業務を経て2008年より制御システムセキュリティの調査・研究業務に従事.現在に至る.2005年放送大学大学院文化科学研究科修士課程修了.SICE/JEITA/JEMIMAセキュリティ合同WGに参加しJ-CLICSを作成.JEITA制御システムのセキュリティ確保に関する調査・検討WG委員.情報処理学会会員.
なかや まこと
仲矢 実 君(正会員)
1986 年慶應義塾大学工学研究科電気工学専攻修士課程修了.同年横河北辰電機(株)(現横河電機(株))入社,電子デバイス本部配属,計測用半導体デバイスの設計に従事.1999年中央研究所へ異動,プラントモデリング・シミュレータ応用の研究に従事.2010年オンラインシミュレータ事業化のためシステム事業部へ異動.2018年イノベーションセンターへ異動しプラントのデジタル化及びセキュリティ対策に従事.2002年第50回電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)受賞.2013年SICE技術賞受賞.2014年ISOFIC/ISSNP 2014 Best Paper Award受賞.2020年東京工業大学非常勤講師.電気学会,火力原子力発電技術協会会員.
うの ともたか
宇野智貴 君
総合人材サービス企業で法人営業を担当.2016年より(株)アルテクスに勤務.技術者派遣事業部門及び商品販売部門セキュリティ商材の調査を兼務.2019年11月よりUSBメモリ消去装置MemWiper™の販売窓口担当者として現在に至る.
さかもと だいすけ
坂本大輔 君
電子機器設計関連企業に勤務し電子回路設計業務を経て,FA機器関連の業務, モノづくり業務に従事.2018年より(株)アルテクスに勤務しモノづくり事業を立ち上げ,設計から製作まで一貫したモノづくり業務に従事し,現在に至る.
受賞論文「情報物理セキュリティを具現化したUSBメモリ消去装置の開発と製品化」
つながる時代の制御システムでは,安全・安心に運用するためセキュリティの強化が欠かせない.横河電機株式会社では,生産制御システムのセキュリティ向上のため様々な取り組みを行っている.本テーマでは,制御システムセキュリティに適した「情報物理セキュリティ」コンセプトを新たに提案した.その具体的な実現例としてUSBメモリ消去装置MemWiper™を開発し,株式会社アルテクスとともに製品化・実用化した.
「情報物理セキュリティ」は遠隔攻撃が困難となるように隔離したセキュリティ施策を外部からの攻撃経路に配置することで制御システムを保護するコンセプトである.MemWiper™は,生産現場において最もセキュリティリスクが高いとされるUSBメモリとPCの中間に設置する小型の装置である.USBメモリの内容を消去してからPCに接続し,USBメモリからPCへのウイルス感染リスクを除去し,安全に制御システムからデータの移動を可能にする装置である.「情報物理セキュリティ」コンセプトに基づいた設計により,遠隔からの攻撃を受けない構造になっている.現在,MemWiper™は国内外の制御システムにおいてUSBメモリからのウイルス感染対策として活用され,制御システムセキュリティに寄与している.
(著述賞)
やまもと とおる
山本 透 君(正会員,フェロー)
1987年徳島大学大学大学院工学研究科修了.大阪大学助手,岡山県立大学助教授,広島大学助教授,同教授などを経て,現在,同大学院先進理工系科学研究科教授.制御系設計の高度化と知能化に関する研究に従事.2003年,2010年本会技術賞,2015年,2017年,2020年本会制御部門大会技術賞などを受賞.SICE Annual Conference 2019のGeneral Chair,工学博士.
わきたに しん
脇谷 伸 君(正会員)
2013年広島大学大学院工学研究科博士課程後期修了.東京農工大学助教,広島大学大学院工学研究科モデルベース開発(MBD)基礎講座講師などを経て,現在同大学院先進理工系科学研究科講師.データを用いた制御系設計法やモデルベース開発に関わる教育研究に従事.博士(工学).
はらだ やすひろ
原田靖裕 君
1983年マツダ株式会社入社.2005年から CAE部門 マネージャー.2009年よりパワートレイン開発本部において主査を担当.2015年より統合制御システム開発本部本部長.2020年8月より統合制御システム開発本部技監として現在に至る.
かがわ なおき
香川直己 君(正会員)
1993年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程システム科学専攻修了.福山大学助手,講師,准教授を経て2007年同教授.2015~2018年同大工学部長.レーザ光を用いた温室効果ガスの非接触計測など光応用計測に関する研究に従事する傍ら,IoT,遠隔ネットワーク計測,遠隔環境における工学教育にも興味を持つ. ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)中四国地区実行委員長.博士(工学).
あだち ともひこ
足立智彦 君(正会員)
1990年マツダ株式会社入社,技術研究所にて先進安全自動車の開発に従事.2004年から操安性能開発部で,シャシ制御システムの開発とブレーキ開発に従事.2009年より同領域のマネージャーとして量産開発と技術開発を統括.2015年,統合制御制御システム開発本部設立時に首席研究員として全社モデルベース開発戦略の立案,推進を担当.2019年より広島大学客員教授兼務で現在に至る.
おき としたか
沖 俊任 君(正会員)
1995年愛媛大学大学院工学研究科博士前期課程機械工学専攻修了.岡山県立大学情報工学部助手,宇部工業高等専門学校機械工学科講師・准教授を経て,現在福山大学工学部スマートシステム学科(着任時電子・ロボット工学科)准教授.制御系やメカトロニクス応用に関する研究に従事.博士(工学).
はらだ しんご
原田真悟 君
1990年マツダ株式会社入社,社内製エンジン制御システム開発に従事.2000年からモデル・ベース・キャリブレーション(MBC)の業務を担当.2010年からSKYACTIVE-D(ディーゼルエンジン)のMBCを担当.2017年から上席研究員 としてSKYACTIVE-XのMBCを担当し現在に至る.
受賞図書「実習で学ぶ モデルベース開発-『モデル』を共通言語とするV字開発プロセス-(2018年・コロナ社)」
コンピュータ技術の進展により,最近では複雑なシステムをコンピュータ上で実現し,机上でシステムの設計・検証を行うモデルベース開発(Model Based Development:MBD)の重要性が唱えられ,産業界では急速にその適用が進められようとしている.ところが,製品開発に携わるエンジニアにとって,一連のMBD開発プロセスを学習する機会は少なく,その概念が十分に浸透していないという実情にあった.このような現状に鑑み, MBD教育(MBD人材養成)の普及振興を目的として,一連のMBDプロセスが自学自習できる教科書を出版するに至った.本書の主な特徴は以下のとおりである.
①大学のもつ専門的知識と教育ノウハウ,さらには企業におけるMBDに基づく製品開発の事例が有機的に繋がった産学連携によるものである.
②HILS(Hardware-In-the-Loop Simulation) の学習にはHIL シミュレータが必要となるが,学習用の「簡易HIL シミュレータ」を独自に開発し,これを用いてHILS実習を説明している.
現在,本書をテキストとした「モデルベース開発プロセス研修」を「ひろしま自動車産学官連携推進会議(略称 ひろ自連)」主導により実施しているところである.
(著述賞)
かねこ しげひこ
金子成彦 君(正会員)
1976年東京大学工学部機械工学科卒業,1978年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了,1981年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了,1981年東京大学工学部講師,1982年東京大学工学部助教授,2003年東京大学大学院工学系研究科教授,2019年東京大学名誉教授,早稲田大学理工学術院教授,現在に至る.ASME,日本機械学会,自動車技術会,日本ガスタービン学会などの会員.流体関連振動,分散型エネルギーシステムの制御などの研究に従事.工学博士.
やまさき ゆうだい
山﨑由大 君(正会員)
1997年慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業,1999年慶應義塾大学大学院理工学研究科前期博士課程修了,2003年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了,同年東京大学大学院産学官連携研究員,2004年東京大学大学院工学系研究科助手,2007年同講師, 2014年同准教授,現在に至る.日本機械学会,自動車技術会,日本燃焼学会,日本エネルギー学会,日本マリンエンジニアリング学会などの会員.高効率燃焼,エンジンのモデリングと制御などの研究に従事.博士(工学).
おおもり ひろみつ
大森浩充 君(正会員)
1988年慶應義塾大学大学院理工学研究科電気工学専攻後期博士課程修了.工学博士(慶應義塾大学).同年同大学理工学部助手.1991年同大学理工学部専任講師.1996年同大学理工学部助教授.2003年同大学理工学部教授.2020年広島大学客員教授.適応制御,ロバスト制御,非線形制御とその応用の研究に従事.計測自動制御学会常任理事,電気学会・産業計測制御技術委員会委員長など歴任.システム制御情報学会,電気学会,機械学会,電子情報通信学会,IEEEなどの会員.
ひらた みつお
平田光男 君(正会員)
1996年千葉大学大学院自然科学研究科修了.同年千葉大学助手,2004年宇都宮大学助教授,2007年同准教授,2013年同教授,現在に至る.2002~2003年カリフォルニア大学バークレイ校機械工学科客員研究員.ロバスト制御,ナノスケールサーボ制御,およびそれらの産業応用に関する研究・教育に従事.博士(工学).システム制御情報学会,電気学会,IEEEなどの会員.
みずもと いくろう
水本郁朗 君(正会員)
1991 年熊本大学大学院工学研究科修士課程(機械工学専攻)修了.同年同大学工学部機械工学科助手,97 年同大学工学部知能生産システム工学科助教授,現在,同大学大学院先端科学研究部(工学部機械数理工学科)教授.適応制御などの制御理論とその応用に関する研究に従事.博士(工学).日本機械学会,システム制御情報学会,電気学会,IEEE などの会員.
いちやなぎ みつひさ
一柳満久 君
2005年慶應義塾大学大学院理工学研究科前期博士課程修了,2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了,同年日本学術振興会特別研究員 (PD),2009年東京大学大学院工学系研究科特任研究員,2010年東京大学インテリジェント・モデリング・ラボラトリー特任研究員,2011年上智大学理工学部機能創造理工学科助教,2014年同准教授,現在に至る.自動車用パワートレインのモデリングなどの研究に従事.博士(工学).日本機械学会,日本伝熱学会,日本設計工学会,自動車技術会などの会員.
まつなが あきお
松永彰生 君
1991年東京大学工学部機械工学科卒業,1993年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.トヨタ自動車(株).
かんだ ともひろ
神田智博 君
1989年九州大学工学部動力機械学科卒業,同年(株)本田技術研究所へ入社.以来,乗用車用内燃機関の研究開発に従事.現在 本田技研工業(株)で同業務に従事.
受賞図書「基礎からわかる 自動車エンジンのモデルベースト制御(2019年・コロナ社)」
本書は,エンジンモデルの構築手法と構築したモデルを利用した制御システムの構築手法について解説しており,手順に沿ってプログラムすれば,モデルベースト制御の基本形が構築できるようになることを目指したもので,最終章には適用事例が掲載されている.
(新製品開発賞)
受賞製品「流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVALTM」
アズビル株式会社 殿
本製品は,空調機を流れる冷温水の流量を調節するコントロールバルブに,流量計測,熱量計測と流量制御機能を追加した流量計測制御機能付電動二方弁である.空調機の過流量を抑制することで熱源機やポンプの運転台数を削減し,空調システムの省エネルギー化を実現する.近年,中国・韓国・東南アジアのオフィスビル・病院・ショッピングモールなどで特に需要が高まっている大容量の空調機に対応可能な海外向けモデル(口径15A~150A)である.
本製品は,空調用コントロールバルブにおけるプラグ前後の圧力差から流量を演算することで,コントロールバルブに流量計測制御の機能を付加している.バルブ内部の流れの状態によらず安定した圧力を計測する構造や,ステムのねじれによる開度のずれを補正する仕組みを考案することで,長い直管長を必要とせず,小型軽量・高精度で流量を計測制御する他社にない製品である.(会誌「計測と制御」Vol.57 No.11(2018 年11 月号)掲載)