功績賞は,本会が寄与する分野において,科学技術の進歩,産業の発展,もしくは,教育・啓蒙に関し,永年にわたって特別の功労があり,その功績が特に顕著な者の生涯的偉業を讃えるものである.
9月13日,奈良春日野国際フォーラム 本館 能楽ホール(SICE 2018会場)において贈呈式を行い,受賞者に賞状および副賞が贈呈された.

ながしま あきら
永 島 晃 君(名誉会員,フェロー)1947年生

功績
1. アナログからディジタルへの転換期に横河電機において開発技術者として活動を始め,引き続いて技術経営の立場から,IA世界へのICT導入活動を主導した.その活動は社内にとどまらず産・官・学の委員・役員,とりわけ本学会の委員,副会長,会長として,計測・制御・システムの実工学の在り方を的確にとらえ,それを推進する技術開発から人材育成・啓蒙にまで,幅広く活動してきた.
2. 計測制御技術者の育成, 技術伝承に関わる功績実践的制御技術者を育成するSICEプロセス塾を創設した.技術を座学によって頭に詰め込むのではなく,先輩技術者の豊富なノウハウ・経験から滲み出てくる制御への愛情・理解を共有して,現場力を自らが獲得することを狙いとしている.すでに370名の修了者を輩出した.本活動は2009年に本学会の教育貢献賞を受賞している.
3. 東日本大震災を契機として,IA分野で活躍する技術者が自分の原点を見つめ直し,これからのIAのあり方を検討する特別パネルを本学会中心に開催した. このパネル活動を4年間にわたり開催,その活動は本学会の「安全のための計測・制御・システムを考える会」に引き継がれている.
4. IA世界でICT積極利活用に向けての功績.
・ IA分野でICTの積極活用を推進する多彩な提言・講演活動に注力してきた.併せて,多くの企業の現場技術者にICT積極活用の重要さを直接に指導している.
・ フィールドバス協会の理事(1994~2003)としてフィールドバス国際標準化実現に貢献した.
・ IA現場にも残る手作業の遠隔化・自動化を実現する技術としてリアルハプティクス技術に注目し, ハプティクス研究センターの副センター長に就任して産業界への普及促進活動を担っている.

略歴
1971年 東京工業大学大学院 制御工学専攻 修士課程を修了,工学修士
2008年 東北大学大学院 工学研究科技術社会システム専攻 博士課程修了,博士(工学)
1971年~94年 横河電機(株)にて, 主にプロセス制御システム開発に従事.
1994年~07年 横河電機(株) 取締役として IAシステム事業部長.技術開発本部長/CTOを歴任.
その間,電子情報技術産業協会 総合政策部会員(1999~09),フィールドバス協会理事(1994~03)を兼務
2007年~09年 横河電機(株) エグゼクティブフェロー
2009年~17年 新日鉄住金エンジニアリング 技術顧問
2008年~ 東京農工大学 客員教授, 国際大学GLOCOM上席客員研究員, 旭興産グループ 技術顧問
2014年~ 慶應義塾大学 ハプティクス研究センター 副センター長

学会等での活動
2003年~05年 横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)企画委員会委員
2005年~06年 計測自動制御学会副会長,企画委員長
2006年~07年 計測自動制御学会第45期会長
2006年~09年 計測自動制御学会 プロセス制御塾委員長
2009年~12年 計測自動制御学会50周年記念事業委員会共同議長

栄誉職
2009年 計測自動制御学会フェロー
2013年 計測自動制御学会名誉会員