2016年度計測自動制御学会学会賞の贈呈
2016年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,太田快人氏を委員長とする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞10件,技術賞5件,著述賞2件,新製品開発賞3件が推薦され,理事会の決定を経て9月22日,つくば国際会議場(SICE2016会場)において贈呈式を行い,受賞者に賞状および副賞が贈呈された.
[論文賞] 10件
(論文賞・蓮沼賞)
○X線CT画像における逐次近似法を用いたメタルアーチファクト低減
(SICE論文集Vol.51, No.12で発表)
信州大学・加納 徹君,小関道彦君
(論文賞・武田賞)
○反応拡散系における不安定定在波の選択的安定化
(SICE論文集Vol.51, No.2で発表)
大阪大学・梅津佑介君,明治大学・小川知之君
京都大学・加嶋健司君
(論文賞)
○ブーリアンネットワークのネットワーク構造とダイナミクス多様性
(SICE論文集Vol.51, No.3で発表)
京都大学・吉田卓弘君,東 俊一君,杉江俊治君
(論文賞)
○Characterization of Finite Frequency Properties for n-Dimensional Behaviors Using Quadratic Differential Forms
(SICE JCMSI Vol.7, No.2で発表)
The Univ. of Tokyo・Chiaki KOJIMA君,Shinji HARA君
(論文賞)
○ディーゼルエンジン過給圧制御へのオンラインリファレンスガバナの応用検討
(SICE論文集 Vol.50, No.3で発表)
トヨタ自動車・仲田勇人君
リカルドUKリミテッド・Peter MARTIN君,Gareth MILTON君
トヨタ自動車・家村曉幸君,テクノバ・大畠 明君
(論文賞・友田賞)
○運転時分制約の可視化による列車運転支援インタフェース
(SICE論文集 Vol.51, No.3で発表)
京都大学・工藤大輝君, 堀口由貴男君, 椹木哲夫君, 中西弘明君
(論文賞)
○直接外部駆動メカニズムによるオンチップ細胞計測
(SICE論文集Vol.51, No.1で発表)
名古屋大学・垣尾 翼君,杉浦広峻君
大阪大学・佐久間臣耶君,金子 真君
名古屋大学・新井史人君
(論文賞)
○A Pragmatic Approach to Modeling Object Grasp Motion Using Operation and Pressure Signals for Demolition Machines
(SICE JCMSI Vol.7, No.6で発表)
Waseda Univ.・Mitsuhiro KAMEZAKI君,Hiroyasu IWATA君
Shigeki SUGANO君
(論文賞)
○6自由度パラレルリンク型アクティブ吸振器付き搬送台車による液体タンクの制振制御-水平な直線路走行の場合-
(SICE論文集Vol.51, No.2で発表)
島根大学・浜口雅史君,谷口隆雄君
(論文賞)
○System Identification of Mechanomyogram at Various Levels of Motor Unit Recruitment
(SICE JCMSI Vol.7, No.6で発表)
Keio Univ.・Takanori UCHIYAMA君,Takahiro TAMURA君
[技術賞] 5件
(技術賞)
○近赤外吸光法を用いた蒸気乾き度センシングシステムの開発
(第31回センシングフォーラム 計測部門大会,他で発表)
アズビル(株)・五所尾康博君,田邊志功君,松儀泰明君
(技術賞)
○眼表面摩擦係数測定機と遺伝的アルゴリズムを用いたデータ整理プログラムの開発
(平成27年度SICE四国支部学術講演会,他で発表)
愛媛大学・岡本伸吾君,大脇雄登君,李 在勲君
Sarwo Pranoto君,白石 敦君,坂根由梨君
太田清彦君,大橋裕一君
(技術賞)
○多変量統計的プロセス管理と心拍変動解析を用いたてんかん発作予知技術の開発
(第1回制御部門マルチシンポジウム,他で発表)
京都大学・藤原幸一君,東京医科歯科大学・宮島美穂君
熊本大学・山川俊貴君,京都大学・加納 学君
東京医科歯科大学・鈴木陽子君
(技術賞)
○工業用高信頼無線通信インフラ
(SICE Annual Conference 2015で発表)
横河電機(株)・長谷川 敏君,山本周二君,藤本直之君,
細谷謙介君,矢吹香織君,桑原修二君,遠藤正仁君,
下村高範君
(技術賞)
○情報系への現場データ提供を容易化する制御系ミドルウェア技術の開発
(SICE論文集 Vol.49, No.8 (2013),他で発表)
(株)日立製作所・山本秀典君,加藤博光君,鮫嶋茂稔君
矢野浩仁君,河田洋平君,水野善弘君
[著述賞] 2件
(著述賞)
○マルチエージェントシステムの制御(2015年・コロナ社)
東 俊一君,永原正章君,石井秀明君,林 直樹君
桜間一徳君,畑中健志君 共著
(著述賞)
○生体システム工学の基礎(2015年・コロナ社)
計測自動制御学会 編,福岡 豊君,内山孝憲君
野村泰伸君 共著
[新製品開発賞] 3件
(新製品開発賞)
○スマート・バルブ・ポジショナ 700シリーズ
アズビル株式会社殿
(新製品開発賞)
○燃料電池(SOFC)温度分布可視化・評価試験ホルダ
株式会社チノー殿
(新製品開発賞)
○産業用コンピュータFA3100SS model 1000
株式会社東芝殿
受賞者略歴および受賞論文概要
(論文賞・蓮沼賞)
かのう とおる
加 納 徹 君(正会員)
1987年生.2016年信州大学総合工学系研究科博士課程(生命機能・ファイバー工学専攻)修了.同年東京工科大学メディア学部助手,現在に至る.博士(工学).X線CTの性能向上に関する研究に従事.日本機械学会,情報処理学会の会員.
こせき みちひこ
小 関 道 彦 君(正会員)
1970年生.1996年東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻修士課程修了.2001年東京工業大学助手,07年同助教,09年信州大学繊維学部准教授,現在に至る.博士(工学).バイオメカニクスおよび生体計測技術に関する研究に従事.
受賞論文「X線CT画像における逐次近似法を用いたメタルアーチファクト低減」
非破壊で被写体の内部を観察可能なX線CTは,我々の生活に多大な恩恵をもたらしてきた.しかし,撮影対象内に金属が含まれるとき,メタルアーチファクトと呼ばれる激しいノイズが発生し,診断や検査を著しく困難にする問題がある.メタルアーチファクト低減に関する研究の多くは,投影データの補間,およびCTの一般的な再構成法であるFBP (Filtered back projection) に基づいている.一方で近年,繰り返し計算により徐々に断層画像を生成する逐次近似画像再構成法 (Iterative reconstruction: IR) が,計算機性能の向上により再注目されている.本論文では,IRの順投影過程にこれまで考慮されていなかったX線のエネルギー情報を厳密に組み込むことで,金属由来の投影データの矛盾が解消されることを理論的に示した.そして,IRに必要なX線吸収係数分布の自動推定法,およびメタルアーチファクト発生量の定量的評価指標を確立し,メタルアーチファクトを根本から低減可能な新しい再構成アルゴリズムを実現した.
(論文賞・武田賞)
うめづ ゆうすけ
梅 津 佑 介君(正会員)
2013年大阪大学基礎工学部システム科学科卒業.2015年大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻修士課程修了.同年,川崎重工業(株)に入社.電力システムの解析と制御に関する研究に従事.システム制御情報学会の会員.
おがわ としゆき
小 川 知 之 君(正会員)
1989年3月京都大学大学院理学研究科博士課程数学専攻単位習得退学.89年4月広島大学理学部助手.その後大阪大学基礎工学部助教授,明治大学理工学部教授を経て2013年4月明治大学総合数理学部教授となり現在に至る.力学系の分岐理論・反応拡散系のパターン形成などを研究.博士(理学).日本数学会,日本応用数理学会会員.
かしま けんじ
加 嶋 健 司 君(正会員)
2005年3月京都大学大学院情報学研究科博士課程修了.同年4月同研究科特任助手.同年6月東京工業大学情報理工学研究科助手(2007年4月より助教),2011年10月より大阪大学大学院基礎工学研究科准教授,13年12月より京都大学大学院情報学研究科准教授となり現在に至る.10年4月より1年間,Alexander von HumboldtFoundationの支援のもとStuttgart Universitatに滞在.大規模系・確率系のシステム制御理論およびその応用に関する研究に従事.2012年本会制御部門パイオニア賞などを受賞.博士(情報学).システム制御情報学会,IEEEの会員.
受賞論文「反応拡散系における不安定定在波の選択的安定化」
自然界には,空間的に非一様なパターンを形成する機構が数多く存在し,こうした自発的な空間構造の形成は自己組織化と呼ばれ,工学的にも大きな可能性を有している.先行研究において著者らは反応拡散系に対して,補助的な外部入力を加える事により,所望の静的なパターンを選択的に発生可能であることを示した.本研究では,同様の試みが動的なパターンに対しても可能であることを示し,その有効性を有限次元の近似システムにおいてだけではなく,偏微分方程式において評価する.
(論文賞)
よしだ たかひろ
吉 田 卓 弘 君(正会員)
1988年生.2013年京都大学工学部物理工学科卒業.15年同大学大学院情報学研究科システム科学専攻修士課程修了.同年,トヨタ自動車(株)入社,エンジン制御システム開発部にてガソリンエンジンの性能・燃費開発に従事.
あずま しゅんいち
東 俊 一 君(正会員)
1976年生. 2004年9月東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).同年4月より日本学術振興会特別研究員,05年9月京都大学大学院情報学研究科助手,07年04月 同 助教,11年6月 同 准教授となり現在に至る.この間,04年11月~05年08月 ジョージア工科大学客員研究員,09年4月~10年3月 ペンシルバニア大学客員研究員.ハイブリッドシステムやネットワークシステムの研究に従事.2005年,2008年,2014年,計測自動制御学会論文賞,2011年度 同学会制御部門パイオニア賞,2014年 システム制御情報学会論文賞などを受賞.IEEE,電子情報通信学会などの会員.
すぎえ としはる
杉 江 俊 治 君(正会員,フェロー)
1978年京都大学大学院修士課程精密工学専攻修了.84年同博士後期課程研究指導認定退学.78年~ 80年日本電信電話公社勤務.84年大阪府立大学工学部助手.88年京都大学工学部助教授を経て,現在情報学研究科教授.制御理論,システム同定等の研究に従事.工学博士.
受賞論文「ブーリアンネットワークのネットワーク構造とダイナミクス多様性」
ブーリアンネットワークは,状態が0か1の値となるノードに よって構成されるネットワークシステムのモデルである.一般に, このシステムは,「ネットワーク構造」と「各ノードの入出力関係」 の組とみなすことができるが,このようにシステムを捉えたとき, 前者を固定し,後者の自由度によってどの程度多様なダイナミクス を生成できるかは興味深い問題である.実際,ネットワーク構造 だけの情報を用いてダイナミクスの特徴を解析することは構造的 解析と呼ばれるが,ダイナミクスの多様性は構造的解析の難しさに対応する.また,ダイナミクスの多様性は,後者の変化に対するシステムのロバスト性をも表わす.このように,ある特定のネットワーク構造のもとでダイナミクスの多様性を調べることは,ネットワークシステムに対する基礎的な課題のひとつといえる.このような状況において,本論文では,ブーリアンネットワークのネットワーク構造とダイナミクス多様性の関係を明らかにした.特に,ダイナミクス多様性のタイトな上限を,ネットワーク構造の特徴量である「ノードの入次数」を用いて特徴付けた.
(論文賞)
Dr. Chiaki KOJIMA(Member)
He received the B.S. degree in science and the M.S. and Ph.D. degrees in informatics from Kyoto University, Kyoto, Japan, in 2002, 2004, and 2007, respectively. In 2007, he joined the Department of Information Physics and Computing, the University of Tokyo as an Assistant Professor. From January to March in 2011, he was a Visiting Assistant Professor of Visiting Assistant Professor, Department of Electrical and Computer Engineering, Rice University, United States of America. His current research interests include dissipation theory, behavioral system theory, multi-dimensional system theory, system identification, and their application to power and energy systems. He is a member of ISIJ, ISCIE, JSIAM, and IEEE.
Prof. Shinji HARA(Member, Fellow)
He received the B.S., M.S., and Ph.D. degrees in engineering from Tokyo Institute of Technology, Tokyo, Japan, in 1974, 1976 and 1981, respectively. In 1984 he joined Tokyo Institute of Technology as an Associate Professor and had served as a Full Professor ten years. Since 2002 he has been a Full Professor of Department of Information Physics and Computing, the University of Tokyo. He received George S. Axelby Outstanding Paper Award from IEEE Control System Society in 2006. He also received Best Paper Awards from SICE several times. His current research interests are in robust control, glocal control, energy management systems, systems biology and computational aspects of control system design. He is a Fellow of IEEE and the Vice President of IEEE CSS for membership activities, and was the President of SICE in 2009.
受賞論文「Characterization of Finite Frequency Properties for n-Dimensional Behaviors Using Quadratic Differential Forms」
Many of practical design specifications are provided by finite frequency properties described by inequalities over restricted finite frequency intervals. In this paper, the authors consider a characterization of the finite frequency domain inequalities (FFDIs) for n-dimensional systems from a view point of a dissipation theory using quadratic differential forms (QDFs), which are useful algebraic tools for the dissipation theory based on the behavioral approach. The QDFs allow us to derive a clear characterization of the FFDIs using some inequality analogous to dissipation inequality with a compensation rate and an inequality of an integral of the supply rate with a matrix integral quadratic constraint as a main result. This characterization leads to a physical interpretation in terms of the dissipativity for subbehavior with some rate constraints. The authors also show how to resolve a difficulty on the expression of a compensation rate peculiar to n-dimensional systems. The results of this paper can be regarded as a finite frequency version for the characterizations of frequency properties over the entire frequency domain due to Pillai and Willems (2002).
(論文賞)
なかだ はやと
仲 田 勇 人 君(正会員)
2005年京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻博士後期課程修了.同年トヨタ自動車(株)に入社,現在に至る.モデルベース制御手法に基づくエンジン制御の研究・開発に従事.博士(情報学).
Dr. Peter MARTIN(Member)
He received BEng, MSc and PhD degrees from Universities of Leicester, Manchester and Strathclyde, UK, respectively, specialising in Control Systems. Since 2004, he has been with the Ricardo Engine Control and Calibration Department in Shoreham, UK. He is employed as Technical Specialist, working on development of advanced controllers and models for a range of engine and vehicle consulting projects.
Dr. Gareth MILTON(Member)
He received BE and PhD degrees from the University of New South Wales in Sydney, Australia, specialising in Mechatronics and Control Systems. He joined Ricardo in 2007 and now works as a Chief Engineer specialising in control systems. His work is primarily focused on the research and development of advanced control systems for engine, hybrid and vehicle applications.
いえむら あきゆき
家 村 曉 幸 君(正会員)
1997年北海道大学大学院工学研究科修士課程修了.同年トヨタ自動車(株)に入社.現在に至る.ディーゼルエンジンの燃焼制御システム,触媒制御システムの開発に従事.
おおはた あきら
大 畠 明 君(正会員)
1973年東京工業大学工学部制御工学科卒業.同年トヨタ自動車(株)に入社.東富士研究所にて,排気ガス浄化システム,吸排気系,自動車制御システムの研究開発,制御理論教育,制御システム開発環境開発などに従事.2015年トヨタ自動車株式会社を退職.現在,(株)テクノバのシニアアドバイザー.IFAC TC7.1のIndustrial Vice Chair.文部科学省委託業務数学協働プログラムの運営委員.Convergence 2004 最優秀論文賞,自動車技術会技術功労浅原賞受賞.自動車技術会などの会員.
受賞論文「ディーゼルエンジン過給圧制御へのオンラインリファレンスガバナの応用検討」
本論文では,自動車用ディーゼルエンジンの過給圧制御に対するリファレンスガバナの応用について考察する.将来予測に用いる制御対象のモデルとして,制御対象の非線形性を表現できる区分的アフィンモデルを用いる.一定のエンジン回転数および燃料噴射量によって決定される定常運転条件の下で,区分的アフィンモデルの各サブモデルはシステム同定により求められる.タービン回転数の上限制約を考慮した過給圧修正目標値を求めるため,勾配法に基づくオンラインリファレンスガバナアルゴリズムを提案する.最後に,提案手法の有効性を実車実験によって示す.
(論文賞・友田賞)
くどう ひろき
工 藤 大 輝 君(正会員)
2014年京都大学大学院工学研究科機械理工学専攻修士課程修了.同年,三菱電機(株)に入社,現在に至る.京都大学在学当時は,列車運転支援インタフェースの開発に関する研究に従事.
ほりぐち ゆきお
堀 口 由貴男 君(正会員)
1999年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.2003年同大学院博士課程指導認定退学.同年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻助手.05年改組により機械理工学専攻助手,07年同専攻助教となり,現在に至る.その間,01~03年日本学術振興会特別研究員,10~11年ウォータールー大学客員研究員.人間機械インタフェース設計の理論と技術に関する研究に従事.ヒューマンインタフェース学会,システム制御情報学会,IEEEなどの会員.京都大学博士(工学).
さわらぎ てつお
椹 木 哲 夫 君(正会員)
1983年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.86年同大学院博士課程指導認定退学.同年京都大学工学部精密工学教室助手.94年同大学院工学研究科精密工学専攻助教授,2002年同教授,05年改組により機械理工学専攻教授,現在に至る.その間,1991~92年スタンフォード大学客員研究員.現在,人間 機械共存環境下での協調システムの設計・解析と知的支援等に関する研究に従事.ヒューマンインタフェース学会,日本機械学会,システム制御情報学会,IEEEなどの会員.京都大学工学博士.
なかにし ひろあき
中 西 弘 明 君(正会員)
1994年京都大学大学院工学研究科航空工学専攻修士課程修了.同年日本電気(株)入社.96年京都大学大学院工学研究科助手.2006年同大学講師となり現在に至る.システム制御工学,インテリジェントシステムの学習,レスキューロボットに関する研究に従事.システム制御情報学会,日本機械学会,IEEEなどの会員.京都大学博士(工学).
受賞論文「運転時分制約の可視化による列車運転支援インタフェース」
本研究では,作業制約に対する認識や理解の違いが運転士間のパフォーマンスのばらつきを生む要因と考え,制約を可視化し知覚的な手がかりとして顕在化させる列車運転支援インタフェースの開発に取り組んだ.具体的には,列車運転に関係する制約群の中で基準運転時分の遵守に焦点を絞り,この達成を補助することを目的とした運転時分制約の可視化を開発した.この可視化は,自車の現在速度を目標停止位置に定刻に到達し停止できる速度範囲とともに示し,運転士に自車の状態を基準運転時分の遵守という作業文脈の中で明確に意識させる.このような可視化の効果を,理想的な運転操作を教示する定刻到着運転手順の可視化と対比しながら列車運転シミュレータ実験により評価した.その結果,制約可視化は,運転の状態を回復可能な範囲内に限定する一方で,主体的な判断の余地を操作者に残すため,支援情報に過度に依存しない運転技術の獲得を促すことを確認した.
(論文賞)
かきお つばさ
垣 尾 翼 君(正会員)
2012年 名古屋大学工学部機械航空工学科卒業.14年 名古屋大学工学研究科博士前期課程修了.14年 (株)島津製作所入社.16年現在,(株)島津デバイス製造.光学技術開発に従事.SI2013 優秀講演賞受賞.
すぎうら ひろたか
杉 浦 広 峻 君(学生会員)
2016年 名古屋大学工学研究科博士前期課程修了.現在,名古屋大学工学研究科博士後期課程在籍.日本学術振興会特別研究員(DC1).微細加工技術,計測技術の開発に従事.第20回ロボティクスシンポジア最優秀論文賞受賞.
さくま しんや
佐久間 臣 耶 君(正会員)
2009 年 東北大学工学研究科修士課程修了.09~11 年 テルモ(株).13 年名古屋大学工学研究科博士後期課程修了.14 年大阪大学大学院工学研究科,日本学術振興会特別研究員(PD).2016年現在,名古屋大学工学研究科助教.MEMS, Microfluidics技術を用いた計測,操作技術に従事.博士(工学).
かねこ まこと
金 子 真 君(正会員)
1981年東京大学工学系研究科博士修了(工学).通産省工業技術院機械技術研究所(現産総研),九州工業大学助教授,広島大学教授を経て,2016 年現在,大阪大学工学研究科教授.ヒトの能力を超えたハイパーヒューマンロボット技術,アクティブセンシングの医療診断応用に従事.博士(工学).
あらい ふみひと
新 井 史 人 君(正会員)
1988年東京理科大学修士課程修了.93 年博士(工学)(名古屋大学).98年名古屋大学助教授,2005 年東北大学教授,10年名古屋大学教授.現在に至る.マイクロ・ナノロボット工学,バイオロボティクスに従事.2016年SICEシステムインテグレーション部門副部門長.
受賞論文「直接外部駆動メカニズムによるオンチップ細胞計測」
本論文では,マイクロ流体チップを用いた細胞操作計測系において,従来の計測方法では困難であった直径10μm 程度の浮遊させた細胞サンプルに対して,高精度・高出力な圧縮変形を与え,細胞の機械特性計測を実現する方法を提案する.本手法の特徴は,柔らかい樹脂材料の利用が常套手段であるマイクロ流路分析デバイスの領域において,ガラス,シリコンなどの剛性の高い材料を加工した機械構造を作りこみ,その機械構造の駆動させることで,単一細胞の個々の物性計測を可能とした点である.微細加工技術によって形成した単軸駆動型オンチッププローブは,その外側に精度や応答性の優れるアクチュエータを配置し,与圧接触によって駆動することで,本計測系に求められる高い繰り返し位置決め精度(1 nm),応答性 (1 kHz)を達成可能である.直接外部駆動(Direct-Outer-Drive)メカニズムと称するこの機構設計方法を利用することで,実際に10 mmほどの真核細胞の硬さ計測が可能となった.評価した物性の優位性などについては検討の余地があるが,たとえば細胞の活性調査等,細胞生理学的な研究に大きく貢献できると考えられる.
(論文賞)
Dr. Mitsuhiro KAMEZAKI(Member)
He received the B.S., M.S., and Dr. of Engineering degrees in Mechanical Engineering from Waseda University, in 2005, 2007, and 2010, respectively. From Oct. 2007 to Mar. 2008, he was a Visiting Research Associate in 21st century COE program, Waseda University. From Oct. 2008 to Mar. 2010, he was a Research Associate in Global COE program, Waseda University. Since Apr. 2010 to Mar. 2013, he was a Research Associate in the Department of Modern Mechanical Engineering, Waseda University. Since Apr. 2013, he has been an Assistant Professor in Research Institute for Science and Engineering, Waseda University. His interests include intelligent machine system, man-machine interface, and operator support system in operated-work machines. He received the Best Paper Award from the 11th Symposium on Construction Robotics in Japan in 2008, the ICROS Best Paper Award Finalist from the IEEE/RSJ IROS 2011, the SICE Young Author's Award Finalist from the 2013 SICE Annual Conference, the Young Investigation Excellence Award from RSJ in 2016, and the Best Paper Award from the IEEE/ASME AIM 2016. He is a member of SICE, RSJ, JSME, and IEEE RAS.
Prof. Hiroyasu IWATA(Member)
He is currently a Professor, Department of Modern Mechanical Engineering, School of Creative Science and Engineering, Waseda University. He received the BS, M.Eng., and PhD in Mechanical Engineering from Waseda University in 1997, 1999, and 2003, respectively. He was leading a human assistive robot project in charge from 2004-2007 and then successfully developed human assistive humanoid robot named TWENDY-ONE with human-like dexterous hands. He has published 90 papers and received 18 awards such as The Young Scientists' Prize, The Commendation for Science and Technology by the Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology. He served as the Program Co-chair of AIM2012 and the Program PaperPlaza Management Chair of IROS2013 conferences, etc. His research interests include advanced technology for construction machinery, robotics in medical care, rehabilitation assistive robot, and anthropomorphic dexterous hand and manipulator. For further information, see the web site, http://jubi-party.jp/en/. He is a member of SICE, RSJ, JSME, EAJ and IEEE RAS.
Prof. Shigeki SUGANO(Member, Fellow)
He received the B.S., M.S., and Dr. of Engineering degrees in Mechanical Engineering from Waseda University in 1981, 1983, and 1989, respectively. From 1986 to 1990, he was a Research Associate in Waseda University. Since 1990, he has been a Faculty Member in the Department of Mechanical Engineering, Waseda University, where he is currently a Professor in the Department of Modern Mechanical Engineering. From 1993 to 1994, he was a Visiting Scholar in the Mechanical Engineering Department, Stanford University. He is a member of the Humanoid Robotics Institute of Waseda University. Since 2014, he serves as the Dean of the School of Creative Science and Engineering, Waseda University. His research interests include human-symbiotic anthropomorphic robot design, dexterous and safety manipulator, and human-robot communication. He served as the General Chair of the SICE Annual Conference 2011. He served as the General Chair of the IROS2013 in Tokyo. He serves as the Vice-President of SICE in 2016. He is a fellow member of SICE, RSJ, JSME and IEEE.
受賞論文「A Pragmatic Approach to Modeling Object Grasp Motion Using Operation and Pressure Signals for Demolition Machines」
An object grasp motion, which is a requisite condition to make a demolition machine grasp an object, is pragmatically modeled. Grasping an object is a difficult task that requires safe and precise operations, particularly in disaster response work. These types of outdoor machines lack visual and tactile sensors, so the grasp motion is defined by using sequential transitions of the on-off state of the operation signal and cylinder pressure data. The results of experiments indicated that the modeled grasp motion model identifies a grasp or non-grasp state with high accuracy.
(論文賞)
はまぐち まさふみ
浜 口 雅 史 君(正会員)
1995年豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士後期課程総合エネルギー工学専攻修了.同年豊橋技術科学大学工学部生産システム工学系助手,98年徳山工業高等専門学校機械電気工学科助教授,01年島根大学総合理工学部助教授,07年同准教授.現在,島根大学大学院総合理工学研究科准教授.移動ロボットや制振制御に関する研究に従事,博士(工学).
たにぐち たかお
谷 口 隆 雄 君(正会員)
1975年九州工業大学工学部制御工学科卒業.同年九州工業大学工学部制御工学科助手,89年山口大学工学部生産機械工学科助教授,94年California大学Berkeley校客員研究員(文部省在外研究員),98年島根大学総合理工学部教授,12年島根大学大学院総合理工学研究科教授.現在,島根大学名誉教授.工学博士.
受賞論文「6自由度パラレルリンク型アクティブ吸振器付き搬送台車による液体タンクの制振制御―水平な直線路走行の場合―」
本論文では,6自由度パラレルリンク型アクティブ吸振器付き搬送台車により,液体タンクの制振制御を行った.吸振器には,直動アクチュエータを6台使用し,搬送台はリンクを介してこれらのアクチュエータによって支持される.すなわち,各アクチュエータを協調動作させることにより,搬送台の位置・姿勢の6自由度を制御することができる.搬送台上に円筒型液体タンクを搭載し,搬送台車が走行した際に励起されるタンク内の液面振動(スロッシング)を吸振器により制振させた.最適レギュレータを用いて制振制御系を構築し,レギュレータの重みは遺伝的アルゴリズムを用いて最適化した.また,搬送毎にタンク内の液体量が変化しても対応できるようにゲインスケジューリングを用いた.なお,本論文では研究の第一段階として,水平な直線路走行を対象とした.制御系の有効性を制御シミュレーションならびに実験において明らかにした.
(論文賞)
Prof. Takanori UCHIYAMA(Member)
He received the B. Eng. and M. Eng. degrees in instrumentation engineering from Keio University, Japan, in 1987 and 1989, respectively. He received the Ph. D degree in biomedical engineering from Keio University in 1992. He was a member of the faculty at Kobe University from 1992 to 1997. Since 1997 he has been a member of the faculty at Keio University, where he is currently a professor at the department of applied physics and physico-informatics. His research interests include measurement and analysis of biomedical signals such as electromyogram and mechanomyogram.
Mr. Takahiro TAMURA(Member)
He received his B. Eng. and M. Eng. degrees in applied physics and physico-informatics from Keio University, Japan, in 2011 and 2013, respectively. He joined Toshiba Medical Systems Corporation in 2013. His research interests include biological signal processing.
受賞論文「System Identification of Mechanomyogram at Various Levels of Motor Unit Recruitment」
This paper investigates mechanomyogram (MMG) systems at various levels of motor unit recruitment. The MMG system is described as a transfer function between the motor unit action potential (or stimulating pulse) and an MMG. We focus on the model order of the MMG system depending on the motor unit recruitment level. The MMG of a single motor unit and the induced MMGs at various recruitment levels were measured with an acceleration sensor. The MMG systems of second- to tenth-order models were identified using the singular value decomposition method. These identified models were used to estimate the MMGs. The estimated MMG was subtracted from the observed MMG to obtain normalized difference. The relationship between the model order and the difference was tested using the Holm-Bonferroni multiple comparison to determine the appropriate model order at each recruitment level. The fifth- and fourth-order models were appropriate at a low and high recruitment level, respectively. The changes in model order could be explained by the interaction between active and non-active motor units based on the Hill-based muscle model.
(技術賞)
ごしょお やすひろ
五所尾 康 博 君
1993年慶應義塾大学物理学科卒業.同年,株式会社山武(現:アズビル(株))入社.圧力センサ開発,バイオセンサ開発に従事.2009年から1年間U.C. Berkeley客員研究員.2011年より乾き度計測システムの開発に従事.現在に至る.
たなべ しこう
田 邉 志 功 君
2004年東京大学農学部農学生命科学研究科卒業.同年,(株)山武(現:アズビル(株))入社.以来,マイクロフローセンサの画像検査工程の開発を経て2012年より乾き度計測システムの開発に従事.現在に至る.
まつぎ やすあき
松 儀 泰 明 君(正会員)
2004年筑波大学大学院数理物質科学研究科修士課程修了.同年,(株)山武(現:アズビル(株))入社.以来,サファイア隔膜真空計の開発,バルブポジショナ向け角度センサの開発を経て2014年より乾き度計測システムの開発に従事.現在に至る.
受賞論文「近赤外吸光法を用いた蒸気乾き度センシングシステムの開発」
乾き度は,湿り蒸気(気液二相)全体に占める気相部分の重量割合として定義されており,蒸気を用いて生産される製品の品質向上や蒸気システムの省エネのために必要な指標であると考えられているが,従来技術では乾き度のリアルタイム計測ができないなどの問題があった.本技術では,蒸気配管の外部からサイトグラス(光学窓)を通して特定波長の近赤外光を透過させ,そのときの吸光度から乾き度を算出するという方法により乾き度のインライン・リアルタイム計測を実現した.近赤外光源には水に吸収されやすい波長のほかに,水にほとんど吸収されない波長を用いることで,水面での反射やサイトグラス表面の状態変化(汚れ)などの減衰分を補正し,より正確な吸光度測定を可能にした.実際の蒸気配管に設置して本システムの評価を行ったところ,乾き度指標(2つの蒸気流量計を用いて推定した乾き度)に対して概ね線形に変化することを確認した.
(技術賞)
おかもと しんご
岡 本 伸 吾 君(正会員)
1984年愛媛大学大学院工学研究科修士課程修了(工学修士),同年(株)東芝入社,総合研究所に配属,振動・騒音の研究に従事.92年東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程修了(博士(工学)),同年広島大学大学院工学研究科助手,助教授,准教授,計算力学,振動・制御の研究に従事.98年MIT(マサチューセッツ工科大学)客員研究員(文部省長期在外研究員),計算力学の研究に従事.2008年愛媛大学大学院理工学研究科教授,ロボティクス,振動・制御,計算力学の研究に従事,現在に至る.日本機械学会,日本計算工学会,ロボット工学会,日本コンピュータ外科学会の会員.
おおわき ゆうと
大 脇 雄 登 君
2014年愛媛大学工学部機械工学科卒業.16年愛媛大学大学院理工学研究科生産環境工学専攻機械工学コース博士前期課程修了(修士(工学)),同年4月三菱電機(株)入社,現在に至る.
いー じぇふん
李 在 勲 君(正会員)
2003年漢陽大学校(韓国)大学院電子電気制御計測工学科博士課程修了(博士(工学)).04年筑波大学大学院KOSEF外国人研究員,07年産業技術総合研究所JSPS外国人特別研究員,09年愛媛大学大学院理工学研究科講師,13年同准教授,現在に至る.ロボットメカニズム設計開発,移動車ロボットナビゲーション,メカトロニクスシステムに関する研究に従事.日本機械学会,IEEE,韓国ロボット学会の会員.
Mr. Sarwo PRANOTO
2003年Gadjah Mada University, Electrical Engineering Department(インドネシア)を卒業.2004年State Polytechnic of Ujung Pandang, Electrical Engineering Department(インドネシア)講師.2009年Monash University, Master Course of Electrical and Computer Systems Engineering(オーストラリア) を修了.2015年愛媛大学大学院理工学研究科生産環境工学専攻機械工学コース博士後期課程入学,眼表面の摩擦の研究に従事,現在に至る.
しらいし あつし
白 石 敦 君
1986年日本医科大学医学部卒業.95年日本医科大学大学院博士課程卒業.86年日本医科大学第2外科医員,94年11月~98年6月シンシナティ大学眼科研究室客員講師,角膜特異的遺伝子の解析に従事.98年7月愛媛大学眼科教室入局,2016年3月愛媛大学大学院医学系研究科眼科学教授,眼表面疾患,涙道疾患の臨床,基礎研究に従事,現在に至る.日本眼科学会,日本角膜学会,日本涙道涙液学会,日本再生医療学会,日本組織移植学会,日本眼感染症学会,日本コンタクトレンズ学会の会員.
さかね ゆり
坂 根 由 梨 君
2004年愛媛大学医学部卒業.06年愛媛大学医学部眼科学教室へ入局,09年より愛媛県立中央病院,12年より明世社白井病院で常勤医として勤務.14年7月より愛媛大学医学部眼科学教室助教として眼表面疾患を中心とした診療に従事,現在に至る.
おおた きよひこ
太 田 清 彦 君
1987年東京理科大学工学部工業化学科卒業.1989年(株)メニコンに入社,コンタクトレンズの開発に従事.2001年から愛媛大学医学部視機能外科学(眼科学教室)にて,コンタクトレンズ装用と眼障害に関する研究に従事,12年愛媛大学から博士(医学)の学位を取得.14年愛媛大学大学院医学系研究科眼科学教室客員研究員として,角結膜・眼瞼および涙液排出動態の研究に従事.日本コンタクトレンズ学会の会員.
おおはし ゆういち
大 橋 裕 一 君
1975年大阪大学医学部卒業.78年大阪大学微生物病研究所感染病理学部門助手.82年UC San Francisco, Francis I. Proctor Eye Foundation留学.85年関西労災病院眼科部長.88年大阪大学医学部眼科講師.92年愛媛大学医学部眼科教授,眼表面疾患,眼感染症の臨床,基礎研究に従事.2002年愛媛大学医学部附属病院長.06年愛媛大学理事・副学長.15年愛媛大学長,現在に至る.日本眼科学会常任理事,日本角膜学会理事,日本涙道涙液学会理事長,日本眼感染症学会理事,日本コンタクトレンズ学会理事.
受賞論文「眼表面摩擦係数測定機と遺伝的アルゴリズムを用いたデータ整理プログラムの開発」
人の瞬目時における眼表面と眼瞼裏面との間の摩擦は,角膜等の摩擦関連疾患やドライアイなどの病態と深く関連していると推測されているものの,眼表面の摩擦に関する研究は未だなされていない.本研究では,摩擦について重要な因子である摩擦係数に着目した.人の眼表面の摩擦係数(μ)は,涙の粘度,瞬目速度,眼瞼圧に関係していると考えられるので,眼表面の摩擦に関する測定で,プローブの移動速度,垂直力,摩擦力を同時に測定できる装置を国内外で初めて開発した.さらに,μの実験データを整理するために新しいナンバー(X)を提案すると共に,Xを用いてμの実験データを整理できる,遺伝的アルゴリズムと最小二乗法を組み合わせたアルゴリズムを考案し,計算プログラムを開発し,眼表面の摩擦係数特性曲線を作成した.実験結果から人の眼表面は,流体潤滑状態にある人と,流体潤滑および混合潤滑(流体潤滑と境界潤滑とが混合した状態)の状態にある人がいることを示した.
(技術賞)
ふじわら こういち
藤 原 幸 一 君(正会員)
1981年生まれ,2009年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻博士後期課程修了,日本学術振興会特別研究員PD,NTTコミュニケーション科学基礎研究所研究員を経て,12年より現職の京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻助教,16年より滋賀医科大学客員助教,東京大学客員研究員(兼任),現在に至る.プロセスデータ解析,生体信号・医療情報処理に関する研究に従事.計測自動制御学会制御部門部門大会賞などを受賞.化学工学会,IEEEなどの各会員.博士(工学).
みやじま みほ
宮 島 美 穂 君(正会員)
1976年生. 2011年東京医科歯科大学医歯学総合研究科博士課程修了, 同年より東京医科歯科大学医歯学総合研究科助教. てんかんや統合失調症等の精神・神経疾患における自律神経機能に関する研究に従事. 医師, 精神科専門医、精神保健指定医, てんかん専門医, 脳波認定医. 日本精神神経学会, 日本てんかん学会, 日本臨床神経生理学会, 日本薬物脳波学会各会員. 博士(医学).
やまかわ としたか
山 川 俊 貴 君(正会員)
1981年生. 2008年熊本大学大学院自然科学研究科システム情報科学専攻博士後期課程修了,同年より静岡大学工学部助教, 一般財団法人ファジィシステム研究所主任研究員(兼任)を経て, 2014年より現職の熊本大学大学院先導機構助教. 16年より東京大学工学系研究科 客員研究員を兼任. ウェアラブル/インプランタブルな生体計測システムに関する研究に従事. 電子情報通信学会, 電気学会, 日本てんかん学会, IEEE各会員. 博士(工学).
かのう まなぶ
加 納 学 君(正会員)
1994年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了.同年同助手.2004年同助教授,07年同准教授,12年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻教授,現在に至る.プロセスデータ解析,プロセス制御,生体・医療情報処理に関する研究に従事.計測自動制御学会論文賞武田賞,技術賞,教育貢献賞,制御部門パイオニア技術賞,化学工学会奨励賞内藤雅喜記念賞,日本鉄鋼協会計測・制御・システム研究賞等を受賞.博士(工学).
すずき ようこ
鈴 木 陽 子 君(正会員)
1987年生. 2013年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医科学専攻修了, 修士(医科学). 同年より東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻在学. 神経生理学的手法を用いた生体計測に関する研究に従事. 日本臨床神経生理学会, 日本うつ病学会, 日本精神神経学会, 日本総合病院精神医学会各会員.
受賞論文「多変量統計的プロセス管理と心拍変動解析を用いたてんかん発作予知技術の開発」
てんかんはニューロンの過剰な電気活動に由来するけいれんや意識障害などの反復性の発作を来す疾患である.てんかん患者は,発作によって事故を起こしたり怪我を負うことがあるが,発作起始前にアラームを鳴らすことができれば,患事故や怪我を防止できると期待される.心拍間隔は自然にゆらぎがあり,これを心拍変動(HRV)と呼ぶが,てんかん発作はHRVに影響するため,HRVを解析することで発作起始前にその兆候を検出できる可能性がある.そこで本研究では,HRV解析とプロセス制御分野で異常検出に用いられる多変量統計的プロセス管理(MSPC)を組み合わせることで,新たにてんかん発作兆候監視アルゴリズムを提案した.そして提案法を臨床データに適用した結果,感度91%で発作起始の少なくとも1分前までに発作兆候を検出することができた.また,このときの誤検知率は1時間当たり0.7回であった.
(技術賞)
はせがわ とし
長谷川 敏 君(正会員)
1989年東京電機大学大学院工学研究科電気工学専攻修了.同年横河電機(株)入社.フィールド無線システムの国際標準化と技術普及活動に従事.IEC/TC65/SC65C/WG16 国際エキスパート.ISA100 Wireless Compliance Institute 日本支部支部長.
やまもと しゅうじ
山 本 周 二 君
入社後,研究開発部門にて,人工知能,ワークステーション,MMIなどのさまざまな技術開発に携わる.1990年から米国にてスーパーコンピュータの開発を行い,帰国後,並列コンピュータの開発に携わる.2003年からユビキタスコンピューティングの製品開発を行い,その後,工業用無線とIIoTの普及活動に携わる.
ふじもと なおゆき
藤 本 直 之 君
1998年筑波大学大学院工学研究科構造工学前期課程修了.2001年横河電機(株)入社.フィールド無線システムの通信スタックと通信制御アルゴリズムの開発に従事.
ほそや けんすけ
細 谷 謙 介 君
2002年法政大学工学部電子情報学科卒業. 04年同大学工学研究科修士課程修了. 同年4月横河電機(株)入社. 10年よりフィールドデジタル無線通信機器の開発に従事. 現在に至る.
やぶき かおり
矢 吹 香 織 君
大学(工学部)卒業後,部品メーカに入社,製品開発に従事.社内の情報共有プロジェクト参加を機にソフトウエア開発に転身.その後,本プロジェクトに参画.2013年より横河電機に入社.無線製品開発に従事.現在に至る.
くわはら しゅうじ
桑 原 修 二 君
1988年早稲田大学理工学部電気工学課卒業.同年横河電機(株)に入社.2010年よりフィールド無線システムのゲートウェイの開発,標準化,製品企画に従事.
えんどう まさひと
遠 藤 正 仁 君
1999年横河ディジタルコンピュータ(株)に入社.2001年横河電機(株)へ移籍.IPv6/IPv4トランスレータ製品開発を経てIPネットワークを使った計装システムの 研究開発に従事.10年より工業用無線(ISA100.11a)の製品開発を担当.ISA100.11aの改訂やWCIで国際標準化作業に参画.現在は無線製品の商品企画を担当.
しもむら たかのり
下 村 高 範 君
2001年電気通信大学電気通信学部卒業.03年電気通信大学大学院電気通信学研究科修士過程修了.同年4月横河電機(株)に入社.10年より同無線ソリューション部(現:新分野開発センー)にて工業用無線製品のソフトウェア開発に従事.現在に至る.
受賞論文「工業用高信頼無線通信インフラ」
産業プラント全域をカバーし,さまざまな用途に適用できる高信頼な無線センサのネットワークインフラを開発した.石油精製や化学プラントなどの製造現場では,安全操業,高稼働率,生産効率向上を実現するために,現場の多様で詳細な監視が求められおり,無線センサネットワークが注目を集めている.ミッションクリティカルな製造現場では,無線通信の高い信頼性と拡張性,そして,高速データ更新を同時に満足することが求められている.このような技術要件を満足するためにわれわれは,工業用無線通信規格:ISA100.11a (IEC 62734)規格を採用し,完全二重化の高信頼工業用無線インフラの開発に成功した.本論文では,本無線インフラを構築するための実装技術を解説するとともに,性能評価の結果および,導入事例として,コークス前処理における防火用安全監視への適用例を紹介する.
(技術賞)
やまもと ひでのり
山 本 秀 典 君(正会員)
2001年東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了.同年(株)日立製作所入社.現在,同社研究開発グループにて,産業,電力,鉄道等の情報制御システムを対象とした研究開発に従事.
かとう ひろみつ
加 藤 博 光 君
1995年東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了.同年(株)日立製作所入社.現在,同社研究開発グループにおいて,情報制御システムの運用監視制御,リスク管理の研究開発に従事.平成11年情報処理学会山下記念研究賞,平成12年計測自動制御学会技術賞など受賞.IEEEの会員.博士(工学).
さめしま しげとし
鮫 嶋 茂 稔 君(正会員)
1993年東京大学大学院工学系研究科航空学専攻修士課程修了.同年(株)日立製作所入社.自律分散システムを始め,産業,電力,交通などの分野での情報制御システムの開発に従事.博士(情報理工学).
やの こうじん
矢 野 浩 仁 君
1996年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修士課程修了.同年(株)日立製作所入社.同社研究開発グループにて交通分野の情報システムを対象とした研究開発に従事.2016年東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士後期課程修了.電気学会会員,情報処理学会会員,日本オペレーションズ・リサーチ学会会員,博士(工学).
かわだ ようへい
河 田 洋 平 君
2002年神戸大学大学院自然科学研究科機械工学専攻修士課程修了.同年(株)日立製作所システム開発研究所入社.13年より同社スマート情報システム統括本部にて,電力・エネルギー分野を対象とした情報システム基盤,データ分析技術の開発に従事,現在に至る.
みずの よしひろ
水 野 善 弘 君
1991年関西大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了.同年(株)日立製作所入社.現在,同社ICT事業統括本部にて,エネルギーを中心としたスマート情報システムに関する事業インキュベーションおよびソリューション開発に従事.
受賞論文「情報系への現場データ提供を容易化する制御系ミドルウェア技術の開発」
産業分野では設備制御や監視を行う制御系と,制御系の現場データを活用し計画作成や設備管理を行う情報系が連携している.近年のさらなる製品品質向上やビッグデータ活用等の要求に迅速に対応するためには,制御系に影響を与えず,大量の現場データを頻繁に追加し情報系へ容易に提供することが課題であった.上記課題解決のため,制御系と情報系のアーキテクチャ階層(アクセス,データ,アプリケーション)における動的特性(周期動作かオンデマンド動作)に着目,体系的に整理し、その差異の吸収に必要な機能を抽出した.上記機能を備えたデータ提供ミドルウェアを開発した.本技術を用いると制御系プログラムおよび動作は変更不要で,新規データの定義とデータ加工処理の追加のみで情報系での利用が可能となり,開発工数削減と制御系の可用性確保が両立できる.これまでに製造業での製品品質向上のための現場の見える化や様々な現場を有するスマートグリッド実証に適用した.
(著述賞)
あずま しゅんいち
東 俊 一 君(正会員)
1976年7月24日生.2004年9月東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課 程修了.博士(工学).同年4月より日本学術振興会特別研究員,05年9月京都大学大学院情報学研究科助手,07年04月 同 助教,11年6月 同 准教授となり現在に至る.この間,04年11月~05年08月 ジョージア工科大学客員研究員,09年4月~10年3月 ペンシルバニア大学客 員研究員.ハイブリッドシステムやネットワークシステムの研究に従事.2005年,2008年,2014年,計測自動制御学会論文賞,2011年度 同学会制御部門 パイオニア賞,2014年 システム制御情報学会論文賞などを受賞.IEEE,電子情報通信学会などの会員.
ながはら まさあき
永 原 正 章 君(正会員)
愛媛県生まれ.2003年京都大学大学院情報学研究科博士課程修了.博士(情報学).京都大学助手,助教,講師を経て,16年より北九州市立大学環境技術研究所教授.専門は自動制御と人工知能.2012年,IEEE制御システム部門より国際賞である Transition to Practice Awardを受賞.同賞の受賞は日本人初である.そのほか,計測自動制御学会や電子情報通信学会の論文賞など,受賞多数.IEEEの上級会員 (Senior Member).ひびきのAI社会実装研究会発足メンバー.
いしい ひであき
石 井 秀 明 君(正会員)
2002年トロント大学 電気工学科 博士課程修了.Ph.D..01年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 Coordinated Science 研究所 ポスドク研究員.04年東京大学大学院 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 助手.07年東京工業大学大学院 総合理工学研究科 知能システム科学専攻 准教授,16年同大学 情報理工学院 情報工学系 准教授となり,現在に至る.この間,14~15年 シュツットガルト大学 客員研究員.ネットワークを介した制御系,マルチエージェント系の分散制御,電力システムのサイバーセキュリティなどの研究に従事.システム制御情報学会,電子情報通信学会,IEEEなどの会員.
はやし なおき
林 直 樹 君(正会員)
2011年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).同年京都大学大学院情報学研究科研究員,12年大阪大学大学院工学研究科助教となり,現在に至る.協調制御,分散最適化に関する研究に従事.システム制御情報学会,電子情報通信学会,IEEEなどの会員.
さくらま かずのり
桜 間 一 徳 君(正会員)
2004年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士後期課程修了.同年電気通信大学大学院電気通信学研究科電子工学専攻助手.07年助教を経て,11年から鳥取大学大学院工学研究科機械宇宙工学専攻准教授となり,現在に至る.博士(情報学).マルチエージェントシステムの分散制御器設計の研究に従事.2014, 2015年計測自動制御学会制御部門大会賞を受賞.システム制御情報学会,日本機械学会,日本ロボット学会,IEEEなどの会員.
はたなか たけし
畑 中 健 志 君(正会員)
2007年京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻博士後期課程修了.同年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助教,15年より同准教授,2016年より同大学工学院准教授となり現在に至る.ネットワーク化ロボティクス,エネルギー管理システムの研究に従事.Passivity-Based Control and Estimation in Networked Robotics (Springer)およびマルチエージェントシステムの制御(コロナ社)の著者.博士(情報学).10th Asian Control Conference Best Paper Prize Award, 2014年計測自動制御学会制御部門パイオニア賞,2009, 2015年度計測自動制御学会論文集論文賞受賞.IEEE Transactions on Control Systems Technology (2017年より)および計測自動制御学会論文集のAssociate Editor.IEEE CSS Conference Editorial Board Member.
受賞図書「マルチエージェントシステムの制御(2015年・コロナ社)」
マルチエージェントシステムは計算機科学や人工知能の分野で古くから研究されてきたが,自律移動型ビークル群やセンサネットワークへの関心を背景に,「マルチエージェントシステムを制御する」という観点からの研究がシステム制御分野で近年盛んに議論されてきた.より最近はスマートグリッドや自動運転,システムバイオロジなどへの応用も検討され,この分野のホットトピックとなっている.
(著述賞)
ふくおか ゆたか
福 岡 豊 君(正会員)
1992年慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了.博士(工学).同年東京医科歯科大学医用器材研究所助手.同大大学院疾患生命科学研究部准教授などを経て,現在工学院大学工学部教授.1999~2000年Harvard-MIT Division of Health Sciences and Technology客員研究員.生体情報や生命情報の解析に関する研究に従事.日本生体医工学会,電子情報通信学会,電気学会,日本神経回路学会,IEEEなどの会員.
うちやま たかのり
内 山 孝 憲 君(正会員)
1987年慶應義塾大学理工学部計測工学科卒業,92年同大学大学院理工学研究科博士課程生体医工学専攻修了.博士(工学).同年神戸大学工学部助手,97年慶應義塾大学理工学部助手,98年同専任講師,2003年同助教授,07年同准教授,11年同教授.筋電・筋音などの生体信号の計測と解析の研究に従事.日本生体医工学会,電子情報通信学会,電気学会,バイオメカニズム学会,IEEEなどの会員.
のむら たいしん
野 村 泰 伸 君(正会員)
1995年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).同年マギル大学生理学部博士研究員,96年大阪大学基礎工学部生物工学科助手.現在,大阪大学大学院基礎工学研究科教授.主として生体工学,生体医工学,計算論的神経科学の研究に従事.日本生体医工学会,IEEEなどの会員.
受賞図書「生体システム工学の基礎(2015年・コロナ社)」
生命現象は遺伝子やタンパク質などの多くの要素が複雑に相互作用することで営まれている.近年,生命をシステムとして捉えるアプローチが注目されている.また,それ以前から,マクロなレベルの現象にシステム同定や伝達関数の概念を適用し,生物(生体)をシステムとして捉える方法が用いられてきた.本書は,線形代数学,力学,電磁気学,電気回路理論,制御工学などをバックグランドとして,種々の工学的手法を生体システムの解析に適用する方法を説明した入門書である.システムや信号などの基礎的な概念から,具体的な解析例や生体システムのシミュレーションまで解説した.一部の例では,出版社のwebページを通じてMATLABあるいはC言語のプログラムを提供しており,プログラムを動かしながら理解できるように配慮した.本書が生体システム工学を理解に役立てば幸いである.
(新製品開発賞)
受賞製品「スマート・バルブ・ポジショナ 700シリーズ」
アズビル株式会社 殿
近年,プラントにおける安全・安定操業の要求が高まってきており,中でも調節弁はプロセス流体を直接制御するため,調節弁の異常がプラント操業へ与える影響は非常に大きい.その一方で,調節弁の異常を起こさないために行っているメンテナンスの費用削減要求も強くなってきている.そのような背景のなか,スマート・バルブ・ポジショナ700シリーズは,弊社従来機種であるスマート・バルブ・ポジショナ300シリーズの実績のある機能・コア部品を継承しつつ,調節弁診断機能を充実させ,調節弁異常の早期発見によるプラントの安全・安定操業へのさらなる貢献と,メンテナンス時の調節弁検査の効率化を実現することによるメンテナンス費用削減や,液晶表示と操作ボタンを搭載するこによる現場での調整・設定の簡易化,グローバル仕様に適合する最新の通信規格対応による通信操作・監視の容易化に貢献するものとして開発したものである.また,製品デザインにおいては,アズビルの掲げる『人を中心としたオートメーション』というグループ理念に沿った形で,人間味のある製品デザインに仕上げることで,2013年グッドデザイン賞,2015年機械工業デザイン賞を受賞した.(会誌「計測と制御」Vol.53 No.10(2014年10月号)掲載)
(新製品開発賞)
受賞製品「燃料電池(SOFC)温度分布可視化・評価試験ホルダ」
株式会社チノー 殿
固体酸化物形燃料電池(以下,SOFC)は動作温度である700℃~800℃で評価されるため,ガスシール方法や集電方法が難しかった.また,電気炉に入れてしまうとセルを直接確認することはできず,ブラックボックスのような状態であった.
当社は,実用サイズ(角5cm~10cm)のSOFC単セルを簡便に測定ができるオールセラミック製の評価ホルダを開発し,ガスシール方法や集電方法の課題を解決した.SOFC可視化ホルダは従来の評価技術を生かし,「簡便な測定とSOFCの可視化」を実現したホルダである.ホルダのセル部分にはサファイアの窓を取り付け,評価用の電気炉には撮影孔を設計し,外部から熱画像,可視画像を撮影可能にした.
現在のSOFCの研究は10年の耐久性を目指して行っており,熱応力がなるべく小さくなるようにセル単位で最適な運転条件を探す必要があるといえる.今後,実用サイズのセルではガスの流れ等により発電時に温度分布が大きく生じないようセルをリアルタイムで可視化することが不可欠である.(会誌「計測と制御」Vol.54 No.5(2015年5月号)掲載)
(新製品開発賞)
受賞製品「産業用コンピュータFA3100SS model 1000」」
株式会社東芝 殿
東芝産業用コンピュータFA3100SS model 1000は,産業オートメーションシステム(石油・化学,鉄鋼,紙・パルプ,食品・飲料,セメント・ガラス,繊維),社会インフラシステム(ビル,放送・通信,上下・水道,廃棄物処理,道路・鉄道,電力流通,ガス,医療)での監視制御やデータ収集サーバ,各種産業機器の組込み用途(半導体・液晶製造装置,計測・検査装置,工作機械,自動倉庫)として開発された製品である.
本製品は,汎用PCと互換の技術を使用しながら,高性能性はもちろんのこと,独自の設計基準に基づく高い信頼性,頑健性および従来機種からの互換性,障害発生からの迅速な復旧を実現する充実した自己診断機能と容易なメンテナンス性,長期に渡る供給と保守を実現している.
一方,産業界ではIoT,M2M通信,クラウド,ビッグデータを活用する,あらたな潮流の到来により,業界全体として大きな転換期を迎えている.現場に置ける頑健性と高性能を実現した産業用コンピュータはエッジコンピューティングと呼ばれるシステム形態において,IoTデバイスのハブあるいはゲートウェイとして新たな役割を担うことになる. (会誌「計測と制御」Vol.54 No.10(2015年10月号)掲載)