功績賞は,本会が関与する分野において,科学技術の進歩,産業の発展,もしくは,教育・啓蒙に関し,永年にわたって特別な功労があり,その功績が特に顕著な者の生涯的偉業を讃えるものである.
 9月22日,つくば国際会議場(SICE2016)において贈呈式を行い,受賞者に賞状および副賞が贈呈された.

いとう としあき
伊藤 利昭君(名誉会員,フェロー)1943年生

功績
1. 化学プラントの建設・保全,FA化の推進,生産技術の高度化などの業務を通じて計装制御技術の高度化と製造のシステム化を推進し,大きな成果を上げて産業界における計測・制御・システム技術の向上と計測・制御・システム技術に関わる技術者の地位向上に貢献した.
2. 産業間の連携,産学の連携,海外の研究機関との連携とともに専門技術者育成のための社内諸制度と組織の整備を推進し,国内外留学と博士号の取得,国内外学会での発表を推奨・サポートして,計測・制御・システム分野の技術者育成に貢献した.
3. 計装研究会に理論部会を創設,日本学術振興会プロセス工学第143委員会にバッチプロセスにおける設計・運転・管理のシステム化に関する研究分科会を創設,化学工学会で化学技術戦略推進機構創設を企画するなど,地域と業界における計測・制御・システム分野の研究者と技術者の活躍分野の拡大に寄与した.
4. 本学会九州支部幹事,理事,事業委員会委員長,制御理論応用部会/制御技術部会主査,制御部門将来構想企画委員会委員長,産業論文員会委員長などを務め,本学会の運営に貢献した.
5. 現役引退後も,本学会「プロセス制御専門家養成塾」講師,「安全のための計測・制御・システムを考える会」主査を務め,社会に貢献する学会としての活動に寄与している.

略歴

1965年 京都大学工学部数理工学科卒業
1967年 同大学院工学研究科修士課程数理工学専攻修了
1997年 工学博士(京都大学論工博)
1967年~87年 三菱化成工業(株)(現三菱化学(株))黒崎工場施設部計装課/
電計技術室主席/工務技術室主席
1987年~93年 同社生産技術本部エンジニアリング室/技術室主席
1994年~96年 同社水島事業所生産技術副センター長/センター長
1997年~99年 同社理事開発本部技術開発室/横浜総合研究所副所長
1999年~2001年 同社理事戦略スタッフ部門
2001年~06年 名古屋工業大学工学部教授/大学院工学研究科教授

上記の間に,九州大学工学部化学機械工学科,九州工業大学制御工学科,東北大学大学院工学研究科において非常勤講師,テクノシステム九州(株),(株)ダイアインスツルメンツにおいて非常勤取締役を兼務.
学会等での活動

1978年~86年 計装研究会理論部会主査/計装研究会幹事
1980年~86年 計測自動制御学会九州支部幹事/評議員
1990年~94年 計測自動制御学会理事/評議員
1991年~2001年 日本学術振興会プロセスシステム工学第143委員会幹事
1993年~2000年 計測自動制御学会制御理論応用部会主査/制御技術部会主査/運営委員
1994年~2003年 日本学術振興会プロセスシステム工学第143委員会ワークショップ「バッチプロセスの設計・運転・管理に関するシステム的アプローチ」/ジャパンバッチフォラム代表世話人
1996年9月 Chair of 1st International PTEC Symposium on Model-Based Development, Engineering and Process Refine in Chemical Process
1997年~99年 化学工学会産業部門研究調査委員会副委員長/研究企画会議副委員長
1997年~98年 「化学技術戦略推進機構」設立発起人会実務者会議座長
1998年~2001年 化学技術戦略推進機構CALSロードマップ調査研究委員会副委員長
2000年 制御部門将来構想企画委員会委員長
2003年~11年 計測自動制御学会産業論文誌委員会委員長/顧問
2006年~現在 計測自動制御学会プロセス制御専門家養成塾講師
2013年~現在 計測自動制御学会「安全のための計測・制御・システムを考える会」主査

栄誉職
2000年 計測自動制御学会フェロー
2009年 計測自動制御学会名誉会員
2016年 計装研究会理論部会参与
受賞
1993年 システム制御情報学会論文賞(椹木記念賞)
2009年 計測自動制御学会教育貢献賞受賞