2013年度計測自動制御学会学会賞の贈呈
2013年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,早川義一氏を委員長とする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞10件,技術賞2件,著述賞2件,新製品開発賞2件,国際標準化賞2件が推薦され,理事会の決定を経て9月16日,名古屋大学(SICE2013会場)において贈呈式を行い,受賞者に賞状および副賞が贈呈された.
[論文賞] 10件
(論文賞・蓮沼賞)
○高速ビジョンとマイクロ流路を用いた実時間赤血球硬さ評価
(計測自動制御学会論文集Vol.47 No.5で発表)
大阪大学・廣瀬優紀君,福井 航君,東森 充君,多田隈建二郎君
金子 真君,新井健生君,坂田泰史君,山本一博君
名古屋大学・川原知洋君,JST・山西陽子君
名古屋大学・新井史人君
(論文賞)
○生体組織のための Dark Field Imaging法に基づく屈折コントラストX線CT
(計測自動制御学会論文集Vol.47 No.10で発表)
山形大学・砂口尚輝君,湯浅哲也君
(論文賞)
○モアレドップラー効果―単一フレーム奥行き方向速度分布計測への適用―
(計測自動制御学会論文集Vol.48 No.5で発表)
東京大学・持田康弘君,安藤 繁君
(論文賞・武田賞)
○Performance Competition in Cooperative Capturing by Multi-Agent Systems
(SICE JCMSI Vol.4 No.3で発表)
東京大学・Koji TSUMURA君, Shinji HARA君
損保ジャパン(株)・Keiichi SAKURAI君
Chung-Ang University・Tae-Hung KIM君
(論文賞)
○非線形放物型偏微分方程式のモデル予測制御
(計測自動制御学会論文集Vol.47 No.5で発表)
大阪大学・橋本智昭君,大塚敏之君
(論文賞)
○線形時不変システムに対する時変フィードバックによる非指数関数オーダーの安定化
(計測自動制御学会論文集Vol.47 No.1で発表)
大阪大学・井上正樹君,和田光代君,池田雅夫君
(論文賞)
○Quantized Average Consensus on Gossip Digraphs with Reduced Computation
(SICE JCMSI Vol.4 No.3で発表)
東京工業大学・Kai CAI君,Hideaki ISHII君
(論文賞・友田賞)
○自発的な省燃費運転行動を促すエコドライブ支援システム
(計測自動制御学会論文集Vol.48 No.11で発表)
京都大学・平岡敏洋君,(株)クボタ・西川聖明君
京都大学・川上浩司君,塩瀬隆之君
(論文賞)
○ルシファラーゼによる生物発光を検出可能な高感度バイオフォトセンサの開発
(計測自動制御学会論文集Vol.47 No.1で発表)
広島大学・亀田成司君,森山祐介君,野田健一君,岩田 穆君
(論文賞)
○エンジンの応答曲面モデルと制御パラメータ最適化手法の開発
(計測自動制御学会論文集Vol.47 No.10で発表)
早稲田大学・小川雅俊君,鈴木泰政君,大貝晴俊君,草鹿 仁君
[技術賞] 2件
(技術賞)
○制御システムのセキュリティ対策セキュリティライフサイクルの実現
(ARC Whitepaper,計装5月号特集記事などで発表)
横河電機(株)・星野浩志君,門田章臣君,EIグローバル・関戸 孝君
YEI SITC・金澤祥弘君,胡 丹君
横河電機・鈴木和也君,土居昭一君,林 健太郎君,高松家廣君
(技術賞)
○ミラープラントの開発と実プラントへの適用
(SICE Annual Conference,計装,横河技法などで発表)
横河電機(株)・仲矢 実君,石 建信君,深野元太朗君,初谷恵美子君
(株)オメガシミュレーション・矢羽田善彦君,小口梧郎君
川村継夫君,横山克己君
三井化学(株)・山田 明君,猿渡和孝君,江崎宣雄君
[著述賞] 2件
(著述賞)
○はじめての制御工学(2010年・(株)講談社)
佐藤和也君,平元和彦君,平田研二君 著
(著述賞)
○高校数学でマスターする制御工学~本質の理解からMat@Scilabによる実践まで(2012年・(株)コロナ社)
小坂 学君 著
[新製品開発賞] 2件
(新製品開発賞)
○燃焼安全制御機器バーナコントローラRXシリーズ
アズビル株式会社殿
(新製品開発賞)
○DTSX 200 光ファイバ温度センサ
横河電機株式会社殿
[国際標準化賞] 2件
(国際標準化賞 功績賞) 名古屋大学・山田陽滋君
対象国際標準規格名:ISO 10218:1992 Manipulating industrial robots ? Safety,ISO 10218-1:2007 Robots for industrial environments?Safety requirements ? Part 1:Robots,など.
(国際標準化賞 奨励賞) 横河電機(株)・宮田 宏君
対象国際標準規格名:RFC 6052 IPv6 Addressing of IPv4/IPv6 Translators,RFC 6144 Framework for IPv4/IPv6 Translation,RFC 6145 IP/ICMP Translation Algorithmなど.
受賞者略歴および受賞論文概要
(論文賞・蓮沼賞)
ひろせ ゆうき
廣 瀬 優 紀 君(正会員)
2010年大阪大学工学部応用理工学科機械工学科目卒業.12年大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻修了.細胞の高速硬さ評価システムに関する研究に従事.
ふくい わたる
福 井 航 君(正会員)
2011年3月大阪大学工学部卒業.13年3月同大学大学院工学研究科修士課程修了.細胞の高速マニピュレーションおよび高速特性評価の研究に従事.同年4月(株)島津製作所入社.現在に至る.日本機械学会,日本設計工学会会員.
ひがしもり みつる
東 森 充 君(正会員)
1998年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了.同年(株)東芝入社.2002年広島大学大学院工学研究科助手,06年大阪大学大学院工学研究科助手,08年同准教授,現在に至る.博士(工学).柔軟物体のセンシング・ハンドリングに関する研究に従事.日本ロボット学会,日本機械学会,日本生体医工学会,IEEEの会員.
ただくま けんじろう
多田隈 建二郎 君(正会員)
2007年東京工業大学大学院博士後期課程修了.博士(工学).2007年よりMassachusetts Institute of Technology Postdoctoral Associate, 08年東北大学産学官連携研究員,電気通信大学助教.09年8月より大阪大学大学院助教.現在に至る.全方向移動・駆動機構をはじめとするロボット機構の研究開発に一貫して従事.IEEE,日本機械学会会員,日本ロボット学会会員.
かねこ まこと
金 子 真 君(正会員)
81年東京大学工学系研究科博士課程修了.工学博士.通商産業省工業技術院機械技術研究所技官,九州工業大学助教授,広島大学教授を経て,2006年より大阪大学教授.ダイナミックアクティブセンシングのバイオ・医療応用に興味をもつ.日本ロボット学会論文賞(94, 2007), 本会論文賞(95, 2002, 2008, 2009), IEEE RAS 2003 King-Sun Fu Memorial Best Transactions Paper Award (2004).Honorary Doctorate (2013, Darmstadt Technical University), IEEE Fellow, 日本ロボット学会フェロー,日本機械学会フェロー.
あらい たつお
新 井 健 生 君(正会員)
1977年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了,同年工業技術院機械技術研究所入所,97年大阪大学,この間,マニピュレータ制御,移動ロボット制御,テレオペレーション,マイクロロボティクス,安心・安全ロボティクス,作業移動型ロボット,パラレルメカニズムなどの研究に従事,現在同大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授,工学博士.
さかた やすし
坂 田 泰 史 君(正会員)
1993年大阪大学医学部医学科卒業,その後大阪大学医学部付属病院,大阪警察病院にて内科医,循環器内科医として勤務,98年大阪大学大学院医学系研究科博士課程,2002年医学博士取得,同年より米国テキサス州ヒューストン Winters Center for Heart Failure Research, Department of Medicine Cardiology, Baylor College of Medicineにてpost doctoral fellowとして勤務 (Douglas Mann教授),04年大阪大学医学部付属病院総合診療部医員,06年大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学助教,2012年同講師.主として心不全の病態生理解明,新しい治療法の確立に従事.日本内科学会認定内科医,日本循環器学会循環器専門医,米国心臓病学会フェロー(FACC).
やまもと かずひろ
山 本 一 博 君(正会員)
1986年3月大阪大学医学部医学科卒業.94年3月大阪大学大学院医学研究科修了.大阪大学,大阪警察病院,米国Mayo Clinicを経て,2011年7月より鳥取大学医学部病態情報内科(旧第一内科)教授.専門は循環器内科.主として心不全領域における病態の解明,診断,治療に関する研究に従事.博士(医学)
かわはら ともひろ
川 原 知 洋 君(正会員)
2006年広島大学大学院工学研究科博士課程修了.博士(工学).同大医学部研究員,東北大学大学院工学研究科助教,名古屋大学大学院工学研究科COE特任助教を経て,12年より九州工業大学若手研究者フロンテイア研究アカデミー准教授.この間,日本学術振興会特別研究員DC1(2004-2006)およびPD(2006-2009),MIT Koch Institute客員研究員(2012-2013).
やまにし ようこ
山 西 陽 子 君(正会員)
2003年ロンドン大学インペリアルカレッジ博士課程修了,04年より芝浦工業大学機械工学科特別任用講師,06年より東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻産学官連携研究員,08年同助教,09年JSTさきがけ専任研究員,11年名古屋大学大学院工学研究科准教授,13年芝浦工業大学機械工学科准教授となり,現在に至る.マイクロ混相流体力学,BIO-MEMS,μ-TAS 等の研究に従事.IEEE,日本機械学会の会員.
あらい ふみひと
新 井 史 人 君(正会員)
1988年東京理科大学修士課程修了.93年名古屋大学博士(工学).98年名古屋大学助教授,05年東北大学教授,10年名古屋大学教授,現在に至る.マイクロ・ナノシステム工学,バイオロボティクスなどの研究に従事.2000年Early Academic Career Award, RAS, IEEE,07年本会論文賞,10年本会技術賞,12年ICRA Best Conf. Paper Awardなど.JSME Fellow.
受賞論文「高速ビジョンとマイクロ流路を用いた実時間赤血球硬さ評価」
赤血球の硬さと病気の間には密接な相関があることが知られている.6~8μmの赤血球が体内で一番大きな抵抗要素になるのは直径2μm程度の極細血管を通過するときである.本論文ではこのような極細血管を模擬したマイクロ流路内に生理食塩水で薄めた血液を流し,高速ビジョンを用いて赤血球がテストチャンネル部を通過する時間から赤血球硬さ評価を行う方法を提案している.テストチャンネル出入り口部にそれぞれソフト上でマイクロウィンドウを設置し,赤血球がこのウィンドウに到達した時刻差から通過時間を割り出している.この際,複数の赤血球が同時にテストチャンネルに侵入したりなどの特例は最終データから自動的に除外される.実験的に,最高計測速度400個/秒さらにオフライン計測で使用したものと同一データに対して成功率92%を確認している.
(論文賞)
すなぐち なおき
砂 口 尚 輝 君(正会員)
2004年山形大学工学部卒業,06年同大大学院理工学研究科博士前期課程修了.同年(株)日立メディコ入社.09年同大大学院理工学研究科博士後期課程修了.09年日本学術振興会特別研究員PDとして高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所に所属.12年群馬大学理工学研究院助教. 博士(工学).生体画像計測の研究に従事.応用物理学会,日本放射光学会の各会員.
ゆあさ てつや
湯 浅 哲 也 君(正会員)
1986年東京大学理学部卒業.同年富士通研究所入社.91年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修了.同年山形大学工学部助手.99年同助教授.2007年同教授.博士(工学).生体画像計測の研究に従事.電子情報通信学会,応用物理学会,日本医用画像工学会,IEEEの各会員.
受賞論文「生体組織のための Dark Field Imaging法に基づく屈折コントラストX線CT」
従来の屈折コントラスト撮像法は生体軟部組織を高コントラスト・高空間分解能で画像化できるが,屈折情報を取得するためには同じ被写体を2回以上撮影する必要があった.本論文ではLaue caseアナライザーから生じる前方回折方向と回折方向のX線投影像から屈折情報を抽出する方式と屈折コントラストに基づくCT再構成アルゴリズムを提案し,1回照射で従来と同等の画質のCT像が得られることを実証する.提案方法の有効性を示すために,シミュレーションによる評価ののち,高エネルギー加速器研究機構PFBL-14Cで,乳がん組織を用いた撮像実験を実施した.本手法による再構成画像と染色病理像を比較した結果,位置関係および構造に関して高い相関を確認した.また,従来の吸収コントラストCT像では描出困難である乳管・乳管壁・乳管内分泌物を明瞭に描出することに成功した.
(論文賞)
もちだ やすひろ
持 田 康 弘 君(正会員)
2009年東京大学工学部計数工学科卒業.11年同大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻修士課程修了.11年よりNTTに勤務.現在に至る.画像センシング,信号処理などの研究に興味をもつ.
あんどう しげる
安 藤 繁 君(正会員,フェロー)
1974年東京大学工学部計数工学科卒業.76年同大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.79年同博士課程修了.工学博士.79年東京大学工学部計数工学科助手,80年同講師.84年電気通信大学電気通信学部電子情報学科助教授.87年東京大学工学部計数工学科助教授,96年同大学院工学系研究科計数工学専攻教授.2001年より同大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻教授,現在に至る.計測自動制御学会学術奨励賞(77年度),同論文賞(79,87,94,97年度),同著述賞(2001 年度)など受賞.センサ,画像処理,信号処理,光・音響計測,計測基礎論,電子回路などの教育と研究に従事.日本音響学会,応用物理学会,応用数理学会,IEEE,OSA,ASA などの会員.
受賞論文「モアレドップラー効果―単一フレーム奥行き方向速度分布計測への適用―」
奥行き方向の運動に対する新たな速度分布計測法を提案する.まず,時間的に振動し空間的に並進する照明と移動体表面の明暗変化との関係に着眼し,この際に生じる周波数変化をモアレドップラー効果として導入する.続いて,格子パターン投影における定式化を行い,モアレドップラー効果が法線方向速度分布計測に適用可能であることを示す.次の課題は周波数シフトの面的同時計測であるが,本論文の後半で時間相関イメージセンサの複素相関撮像機能と,近年見いだされた正弦波周波数厳密推定法による1画素1フレームの奥行き方向速度計測の実現およびその実験結果について報告する.
(論文賞・武田賞)
Prof. Koji TSUMURA(Member)
Koji Tsumura received the B.Eng., M.Eng., and Ph.D. degrees in mathematical engineering and information physics from the University of Tokyo, Japan, in 1987, 1989, and 1992, respectively. He was a Research Associate and a Lecturer of the Department of Information Engineering, Chiba University from 1992 to 1998. He is currently an Associate Professor of the Department of Information Physics and Computing, the University of Tokyo. His research interests are in control and information theory, networked control systems, quantum control, large-scaled complex systems, and system identification.
Prof. Shinji HARA(Member,Fellow)
Shinji Hara received the B.S., M.S., and Ph.D. degrees in engineering from Tokyo Institute of Technology, Tokyo, Japan, in 1974, 1976 and 1981, respectively. In 1984 he joined Tokyo Institute of Technology as an Associate Professor and had served as a Full Professor ten years. Since 2002 he has been a Full Professor of Department of Information Physics and Computing, the University of Tokyo. He received George S. Axelby Outstanding Paper Award from IEEE Control System Society in 2006. He also received Best Paper Awards from SICE several times. His current research interests are in robust control, sampled-data control, glocal control, quantum control and computational aspects of control system design. He is a Fellow of IEEE and was the Vice President of IEEE CSS for membership activities. He was the President of SICE in 2009.
Nr. Keiichi SAKURAI(Member)
Keiichi Sakurai received the B.S. and M.S. degrees in engineering and information science & technology from the University of Tokyo, Tokyo, Japan, in 2006 and 2008, respectively. He is currently a member of Sompo Japan Insurance Inc.
Prof. Tae-Hyoung KIM(Member)
Tae-Hyoung Kim received the B.S. and M.S. degrees in mechanical engineering from Chung-Ang University, Korea, in 1999 and 2001, respectively. He received the Ph.D. degree in informatics from Kyoto University, Japan, in 2006. From April 2006 to February 2007, he was a guest research associate in the Department of Systems Science, Kyoto University. From March 2007 to August 2008, he was a researcher in the Japan Science and Technology Agency (JST). He is currently an Associate Professor at the School of Mechanical Engineering, Chung-Ang University. His current research interests include multi-agent systems, particle swarm optimization, systems biology, model predictive control, and system identification.
受賞論文「Performance Competition in Cooperative Capturing by Multi-Agent Systems」
In this paper, we deal with a problem to capture a target by linear multi-agent systems where the agents behave autonomously for the capturing, whereas the target escapes with a reasonable strategy. We consider two cases for the dynamics of the agents and the target.First, for the simple dynamic case, we give a necessary and sufficient condition for the success of the capturing. Then, we extend the results to the general dynamics case and give similar sufficient conditions. The conditions clarify the performance competition between the target and the agents and we propose preferable strategies for them. We also demonstrate the results by using numerical simulations.
(論文賞)
はしもと ともあき
橋 本 智 昭 君(正会員)
2003年東京都立科学技術大学工学部航空宇宙システム工学科卒業,04年同大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士前期課程修了,07年3月同専攻博士後期課程単位取得後満期退学,同年9月同専攻博士(工学)取得.07年4月理化学研究所脳科学総合研究センター研究補助員,08年4月信州大学大学院工学系研究科電気電子工学専攻助教,09年5月大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻助教となり現在に至る.近年,モデル予測制御の研究に従事.日本航空宇宙学会,日本機械学会,システム制御情報学会,IEEEの会員.
おおつか としゆき
大 塚 敏 之 君(正会員)
1990年東京都立科学技術大学航空宇宙システム工学科卒業,95年同大学大学院工学研究科工学システム専攻博士課程修了.同年筑波大学構造工学系講師.99年大阪大学大学院工学研究科講師,2003年同助教授,07年同大学大学院基礎工学研究科教授,13年京都大学大学院情報学研究科教授となり現在に至る.主として非線形制御と最適制御の理論と応用に関する研究に従事.博士(工学).日本航空宇宙学会,日本機械学会,AIAA,IEEEなどの会員.
受賞論文「非線形放物型偏微分方程式のモデル予測制御」
モデル予測制御とは有限評価区間の最適制御問題を時間が進むごとに評価区間を移動させながら継続的にその最適化問題を解くことによって,最適フィードバック制御を実現する手法である.本論文では,システム係数が状態変数に依存するような非線形放物型偏微分方程式で記述されるシステムを制御対象として,モデル予測制御手法に基づいた系統的な制御系設計手法を構築した.停留条件と呼ばれる評価関数が最小となるために満たすべき必要条件を解析的に導出し,得られた停留条件が最適化変数に関してある特殊な構造を有していることに着目し,その構造を利用することで数値解法の簡略化を行い,既存の数値解法より効率的な新しい数値解法を考案した.数値シミュレーションにより提案手法の有効性を示した.
(論文賞)
いのうえ まさき
井 上 正 樹 君(正会員)
2009年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了.12年同博士後期課程修了し,科学技術振興機構FIRST合原最先端数理モデルプロジェクト研究員,東京工業大学大学院情報理工学研究科研究員.博士(工学).動的システムの安定論に関する研究に従事.IEEE, システム制御情報学会の会員.
わだ てるよ
和 田 光 代 君(正会員)
1985年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了.87年同後期課程を退学し,神戸大学大学院自然科学研究科助手,90年大阪府立大学工学部助手.同講師を経て,2003年大阪大学大学院工学研究科特任助教授.現在,特任准教授.非線形システムの安定解析とモデリング,時系列解析手法の研究に従事.博士(工学).システム制御情報学会,IEEEなどの会員.
いけだ まさお
池 田 雅 夫 君(名誉会員,フェロー)
1971年大阪大学工学研究科通信工学専攻修士課程修了.73年同博士課程を退学し,神戸大学工学部システム工学科助手.90年同教授.95年大阪大学に移り,工学研究科機械工学専攻教授を経て,2010年定年退職し,名誉教授.現在,大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室統括マネージャー・特任教授.工学博士.IEEE Fellow,日本機械学会フェロー,日本工学教育協会特別教育士(工学・技術).2005年度本会会長.
受賞論文「線形時不変システムに対する時変フィードバックによる非指数関数オーダーの安定化」
本論文では,線形時不変システムを対象として,線形時変コントローラによる非指数関数オーダーの安定化を考える.このために,振舞いが非指数関数的上界のもとで減衰するようすを適切に表現できる新しい安定性の概念を提案する.そして,その概念のもとで振舞いを解析する.まず,線形時変システムの振舞いが指定した非指数関数より速く減衰するための条件を,Liapunov微分方程式の形で導出する.そして,状態フィードバックコントローラと出力フィードバックコントローラを考え,それぞれについて閉ループ系の非指数関数的振舞いを実現するための安定化可能条件とコントローラ設計法を導出する.提案する条件は
Riccati微分方程式の形で与える.一般に時変の係数行列をもつ微分方程式は解析的には解けないが,コンピュータを用いて数値計算で解くことができる.そして,コンピュータを用いることで,時変コントローラを実現して実システムに実装することも可能である.最後に,提案する設計法の使い方について例示し,数値例によりその有効性を示す.
(論文賞)
Dr. Kai CAI(Member)
Kai Cai received the B.Eng. degree in Electrical Engineering from Zhejiang University (China) in 2006, the M.A.Sc. degree in Electrical and Computer Engineering from the University of Toronto (Canada) in 2008, and the Ph.D. degree in Systems Science from Tokyo Institute of Technology (Japan) in 2011. He is currently a Postdoctoral Fellow in Systems Control, with the Department of Electrical and Computer Engineering of the University of Toronto. His research interests are distributed control of multi-agent systems, distributed control of discrete-event systems, and theory of control architecture.
Prof. Hideaki ISHII(Member)
Hideaki Ishii received the M.Eng. degree in applied systems science from Kyoto University in 1998, and the Ph.D. degree in electrical and computer engineering from the University of Toronto in 2002. He was a Postdoctoral Research Associate of the Coordinated Science Laboratory, the University of Illinois at Urbana-Champaign from 2001 to 2004, and a Research Associate of the Department of Information Physics and Computing, The University of Tokyo from 2004 to 2007. He is currently an Associate Professor of the Department of Computational Intelligence and Systems Science, Tokyo Institute of Technology. His research interests are in networked control systems, multi-agent systems, hybrid systems, and probabilistic algorithms. He is the Chair of the IFAC Technical Committee on Networked Systems. He is on the editorial board of Automatica and previously of the IEEE Transactions on Automatic Control.
受賞論文「Quantized Average Consensus on Gossip Digraphs with Reduced Computation」
In this paper, we consider the distributed averaging problem on directed graphs with the constraint that each node has an integer-valued state. We have recently proposed a class of randomized gossip algorithms which solves this problem. The essence of this algorithm is to maintain local records, called “surplus'', of individual state updates, thereby achieving quantized average consensus even though the state sum of all nodes is not preserved. Here, we study a modified version of this algorithm, whose feature is primarily in reducing both computation and communication effort. Concretely, each node needs to update fewer local variables, and each transmission of surplus requires only one bit. Under this modified algorithm we prove that reaching the average is ensured for arbitrary strongly connected graphs, a condition that is weaker than those in the literature for either real-valued or quantized states, in the sense that it does not require balanced network structure. Finally, we provide numerical examples to illustrate the convergence result, with emphasis on convergence time analysis.
(論文賞・友田賞)
ひらおか としひろ
平 岡 敏 洋 君(正会員)
1996年3月京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.同年松下電器産業株式会社入社.98年10月京都大学大学院情報学研究科助手(後に助教)となり現在に至る.ヒューマンマシンシステムの研究,とくに自動車の運転支援システムに関する研究に従事.ヒューマンインタフェース学会,自動車技術会,日本機械学会,日本人間工学会の会員.博士(情報学).
にしかわ せいめい
西 川 聖 明 君(正会員)
2011年3月京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻修士課程修了.同年4月(株)クボタ入社.在学時は運転者の動機づけに関する研究に従事.
かわかみ ひろし
川 上 浩 司 君(正会員)
1989年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.同年岡山大学工学部情報工学科助手,98年4月京都大学大学院情報学研究科助教授(後に准教授)となり現在に至る.生態学的・創発的システム設計,知的情報処理の研究に従事.本会論文賞(1991, 2003年度),ヒューマンインタフェース学会論文賞(2010年度)受賞,ヒューマンインタフェース学会,日本機械学会などの会員.博士(工学).
しおせ たかゆき
塩 瀬 隆 之 君(正会員)
1998年3月京都大学大学院工学研究科修士課程修了.神戸大学大学院自然科学研究科助手,京都大学大学院情報学研究科助手を経て,2008年より京都大学総合博物館技術史担当准教授.12年6月に退職,立場をかえて,子どもたちが将来に夢をもてるような社会基盤づくりに注力.ヒューマンインタフェース学会論文賞(2002年度),学術奨励賞(2000年度)受賞.博士(工学).
受賞論文「自発的な省燃費運転行動を促すエコドライブ支援システム」
自動車が排出するCO2の削減に有効な手段の一つであるエコドライブは,従来の運転に比べると複雑な操作となるために,実行するか否かは運転者のモチベーションに依るところが大きい.したがって,エコドライブに対する動機づけを高めるための方策を考えなければならないが,エコドライブに対する動機づけに関する研究はほとんど行われていない.そこで,本研究では動機づけに関する心理学の各種知見に基づいて,運転者に自発的なエコドライブを促す仕掛けとして,1) 運転者の運転技能に応じた目標燃費を提示する,2) 運転者自身の操作によって目標燃費の難易度とシステムの表示内容を選択できる,という機能を有するエコドライブ支援システムを提案した.ドライビングシミュレータ実験の結果より,本システムの提示によって,1) 従来の燃費計を提示するだけではエコドライブを行わない運転者に対してエコドライブを促す,2) 一部の運転者は習熟に合わせた表示内容の選択を行う,などの有効性が確認された.
(論文賞)
かめだ せいじ
亀 田 成 司 君(正会員)
2001年九州工業大学大学院情報工学研究科修了,同年,日本学術振興会特別研究員,03年広島大学COE研究員,06年広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所特任准教授,11年より大阪大学臨床医工学融合研究教育センター特任准教授,現在に至る.バイオセンサ,生体模倣集積回路の研究に従事 (情報工学博士).01年度本会学術奨励賞,10年度本会SI部門若手奨励賞受賞.IEEE,日本神経回路学会の会員.
もりやま ゆうすけ
森 山 祐 介 君(正会員)
2009年広島大学大学院先端物質科学研究科修了,同年,ソニー(株)入社,現在に至る.CMOSイメージセンサの開発に従事 (工学修士).
のだ けんいち
野 田 健 一 君(正会員)
1988年山口大学農学部修了,同年,新日本石油(株)入社,2003年物産ナノテク研究所,同年,早稲田大学理工学博士号修得,06年広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所特任准教授,11年より東亜ディーケーケー(株)主任研究員.蛋白質工学・発光酵素機能改変の研究に従事(工学博士).
いわた あつし
岩 田 穆 君(正会員)
1970年名古屋大学工学研究科修了,同年,日本電信電話公社入社,91年NTTLSI研究所研究部長, 94年広島大学教授,2009年同大学退職,名誉教授.現在,(株)エイアールテック代表取締役社長.アナログRF‐LSIの設計開発に従事(工学博士).IEEE, 電子情報通信学会の会員
受賞論文「ルシファラーゼによる生物発光を検出可能な高感度バイオフォトセンサの開発」
ルシフェラーゼの生物発光を利用して大腸菌などの細菌を検出するための高感度バイオフォトセンサを0.18?m CMOS Image Sensor Processを用いて開発した.検出対象の発光量は非常に微弱であるので検出には高感度の受光素子を必要とする.そこで,バイオフォトセンサをAPS(Active Pixel Sensor)と20bitのPWM型A/Dコンバータで構成し,長時間露光,広受光面積,ノイズ除去回路技術などにより高感度化を達成した.複数対象の同時検査を可能にするために2.45mm角のチップ上に本バイオセンサを2×4個配置している.チップ全体の消費電力は32?Wで先行研究に比べ3桁程度低い.ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応による生物発光の検出実験により,10-5 lux 程度の生物発光が検出できることを確認し,われわれが想定している細菌検出手法に対して十分な検出性能をもつことを確認した.
(論文賞)
おがわ まさとし
小 川 雅 俊 君(正会員)
2005年早稲田大学大学院情報生産システム研究科修士課程修了.08年同博士後期課程修了.博士(工学).07年早稲田大学助手,11年(株)富士通研究所入社,現在に至る.システムのモデリング,シミュレーション,最適化,制御などの研究に従事.電気学会の会員.
すずき やすまさ
鈴 木 泰 政 君(正会員)
2009年早稲田大学創造理工学研究科修士課程修了,12年早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科博士後期課程単位取得退学.12年早稲田大学助手,13年産業技術総合研究所に入所,現在に至る.エンジン制御,数値解析などの低排出ガス・高効率内燃機関の研究に従事.自動車技術会の会員.
おおがい はるとし
大 貝 晴 俊 君(正会員)
1974年早稲田大学理工学部電気工学科卒業.76年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年新日本製鐵(株)入社.鉄鋼プロセス制御の開発に従事.2003 年早稲田大学大学院情報生産システム研究科教授,現在に至る.博士(工学).プロセス制御,プロセスモデリングなどの研究に従事.電気学会,システム制御情報学会,IEEEなどの会員.
くさか じん
草 鹿 仁 君(正会員)
1997年早稲田大学理工学研究科博士後期課程修了.工学博士.95年早稲田大学理工学部総合機械工学科助手,99年専任講師,2001年助教授,08年教授,現在に至る.ディーゼルエンジン燃焼,ディーゼルエンジン後処理装置,ガソリンエンジンのノック発生,燃料電池,NAS電池などの研究に従事.自動車技術会,日本機械学会,SAE(米国自動車技術会)などの会員.
受賞論文「エンジンの応答曲面モデルと制御パラメータ最適化手法の開発」
近年の地球環境問題やエネルギー枯渇問題に対応して,自動車エンジンの燃費や排ガスを改善する技術が求められている.自動車ディーゼルエンジンは,電子制御装置の発展に伴って,多段噴射装置,EGR,過給機などの多数の制御装置を装備し,燃費や排出ガスのさらなる改善にはこれらの制御装置の多数のパラメータを最適に制御する技術が必要である.また,制御システム開発を高効率化できることから,モデルベースの制御システムや適合技術が近年注目されている.このようにモデルに基づいて最適に制御するには,実験データから多数の制御パラメータと特性値の関係を精度よく表現する応答曲面モデルの構築と制御パラメータの最適化手法が重要である.
本研究では,自動車ディーゼルエンジンを対象として,燃費や排出ガスなどのエンジン特性値と多数の制御パラメータの関係を表現する応答曲面モデルを効率的に構築する方法を提案するとともに,モデルに基づいて複数の燃費や排出ガスなどの評価項目を最適にする制御パラメータを高速かつ効率的に取得するエンジン制御パラメータ最適化手法を提案する.
(技術賞)
ほしの ひろし
星 野 浩 志 君
1992年東京農工大学大学院工学研究科電子情報工学専攻修了.同年横河電機(株)入社.ネットワーク・セキュリティ対策製品開発およびシステム構築,社内CSIRT体制構築を担当.現在,制御システムのセキュリティ対策の提案に従事.
もんでん あきおみ
門 田 章 臣 君
1996年大阪大学大学院基礎工学研究科制御工学専攻博士前期課程修了.同年横河電機(株)入社.制御システムの開発,マーケティングに従事.現在,制御システムに特化したセキュリティ対策のマーケティングに従事.
せきど たかし
関 戸 孝 君
1990年東京理科大学工学部電気工学科卒同年横河電機(株)入社.工業計器や計測システム,通信品質測定器の開発活動を経て現在ネットワーク・セキュリティ対策の研究活動に従事.
かなざわ よしひろ
金 澤 祥 弘 君
2007年東京電機大学大学院工学系研究科情報メディア学専攻修了.同年横河電機(株)入社.制御システムにおけるネットワーク・セキュリティ対策の標準化およびプロジェクトサポートに従事.
ふ だん
胡 丹 君
2005年東北大学大学院情報科学研究科システム情報科学専攻 博士前期課程修了.06年横河電機(株)入社.制御システムのエンジリアリング担当を経て,10年からシンガポールで制御システムのセキュリティ対策の実装,システムアーキテクチャ設計に携わる.現在,セキュリティ対策を含めた大型プロジェクトのシステムアーキテクチャ設計・実装に従事.
すずき かずや
鈴 木 和 也 君
2002年東京電機大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程修了.同年横河電機(株)入社.2011年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了.博士(情報学)ネットワークセキュリティ技術の研究開発,およびセキュリティ商品の企画,開発に従事.
どい しょういち
土 居 昭 一 君
1997年九州産業大学商学部商学科卒業.同年横河マルチメディア(株)入社.PC機器及びサービスの企画開発に従事.2000年UUNET Japan(株)に入社.通信システム,データセンター企画販売業務に従事.01年横河電機(株)入社.ITセキュリティソリューションの企画販売に従事.現在,制御システムセキュリティサービス開発に従事
はやし けんたろう
林 健太郎 君
2003年東京都立大学工学部電子情報工学科卒業.同年横河情報システムズ(株)入社.05年横河フィールドエンジニアリングサービス(株)に出向.情報システム/医療情報システムでの運用保守経験から情報系汎用製品を採用し始めた制御システムでの運用保守の設計を担当.その後,徐々に顕著となった制御システムでのセキュリティインシデントに対応するため,製品サービスとしてセキュリティ対策啓蒙や提案に従事.
たかまつ かつひろ
高 松 家 廣 君
1997年長崎大学大学院工学研究科材料工学専攻修了.同年横河ディジタルコンピュータ(株)入社.ネットワーク・セキュリティ対策製品開発およびセキュリティ認証取得に従事.現在,横河電機(株)にて制御システムの設計・開発に従事.
受賞論文「制御システムのセキュリティ対策 セキュリティライフサイクルの実現」
汎用ITシステムを導入したことにより,現在の分散形制御システムは高機能化やコスト削減を実現してきた.しかし同時に情報セキュリティリスクという負の側面ももちあわせる事となり,重要インフラを中心に脅威論が高まりを見せている.こうした背景の中,横河電機は昨今のユーザニーズに応えるかたちで,一つの現実解として制御システムに対するセキュリティライフサイクルの実現に取り組んできた.
本稿では,セキュリティライフサイクルアプローチの有効性,および,セキュリティライフサイクルの実現に必要な要件と,対応する具体的な施策と関連する活動について,横河電機の制御システム CENTUM VPを例として述べる.
また,これまでの取り組みにより見えてきたセキュリティライフサイクルアプローチによる成果と今後の課題についても述べる.
(技術賞)
なかや まこと
仲 矢 実 君(正会員)
1986年慶應義塾大学工学研究科電気工学専攻修士課程修了.同年横河北辰電機(株)(現横河電機(株))入社,電子デバイス本部配属,計測用半導体デバイスの設計に従事.99年中央研究所へ異動,プラントモデリング・シミュレータ応用の研究に従事.2010年ミラープラント事業化に向けシステム事業部へ異動.現在に至る.02年第50回電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)受賞.電気学会会員.
せき たてのぶ
石 建 信 君(正会員)
1997年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業,99年同大学院理工学研究科電気工学専攻前期博士課程修了.同年4月横河電機(株)に入社.計測器やLSIテスタ用ICのアナログ・デジタル回路設計に従事.2005年より同社計測制御研究所に異動,ミラープラントの研究開発に携わる.10年より同社システム事業部に異動し,ミラープラントの商品化に向けた企画・開発に取り組み,現在に至る.
ふかの げんたろう
深 野 元太朗 君(正会員)
2000年豊橋技術科学大学大学院工学研究科知識情報工学専攻修了.05年同大学院工学研究科博士後期課程電子・情報工学専攻修了.博士(工学).01年横河電機(株)入社.現在,(株)オメガシミュレーションに出向,プラントシミュレータの開発に従事.03年Computer Assisted Radiology and Surgery Poster Award 1st Prize,05年日本医用画像工学会奨励賞受賞.電子情報通信学会会員.
はつがい えみこ
初 谷 恵美子 君
2006年武蔵工業大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了(現東京都市大学).同年横河電機(株)入社,技術開発本部計測制御研究所配属,ミラープラントの開発に従事.10年ミラープラント事業化に向けシステム事業部へ異動.現在に至る.
やはた よしひこ
矢羽田 善 彦 君
1975年九州工業大学工学部制御工学科卒業,同年三井東圧化学(株)(現三井化学(株))入社,大牟田工業所工務部計装課配属,化学プロセス計装設計に従事.94年エンジニアリング部へ異動,DCSエンジニアリングの標準化業務に従事.2001年システム部へ異動,ERP導入業務に従事.08年生産統括部(現 エンジニアリング部)へ異動,ミラープラント開発・展開業務に従事.12年(株)オメガシミュレーションに出向.現在に至る.
おぐち ごろう
小 口 梧 郎 君
1966年東京大学工学部産業機械工学科卒業.同年東洋高圧工業(株)(現三井化学(株))入社,千葉工業所保全課に配属.68年本社システム部に異動,化学プロセスシミュレーターの開発に従事.97年(株)オメガシミュレーションに出向,ダイナミックシミュレータおよびミラープラントシステムの開発に従事.2002年化学工学会技術賞受賞.04年より(有)タイニーマウス代表取締役,現在に至る.
かわむら つぐお
川 村 継 夫 君
1972年慶応義塾大学大学院計測工学修士課程修了.同年三井東圧化学(株)(現三井化学(株))入社,本社システム部に配属,プロセスシステムエンジニアリング業務に従事.1999年三井化学業革推進プロジェクト担当.2003年(株)オメガシミュレーションに出向,ダイナミックシミュレーション技術の事業展開に従事.13年6月三井化学(株)退職.現在(株)オメガシミュレーション技術顧問.
よこやま かつみ
横 山 克 己 君
1978年東京工業大学理工学研究科化学工学専攻 修士課程修了.同年三井東圧化学(株)(現三井化学(株))入社.システム部門で技術計算の開発を担当.97年 (株)オメガシミュレーションに出向.99年から名古屋大学,2002年から明治大学の非常勤講師を勤め現在に至る.現在,プラントシミュレータの開発に従事.化学工学会,分離技術会会員.
やまだ あきら
山 田 明 君
1979年大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻修士課程修了.同年三井東圧化学(株)(現三井化学(株))入社.化学プロセス開発を担当.83年以降,モデリング・シミュレーション技術をベースとした化学プロセスの設計,運転支援・制御システム開発等に従事.2005年大牟田工場にて技術部長,翌年工場革新室長,08年生産技術センタープロセスシステム技術ユニットリーダー,09年よりミラープラントの自社プラントでの実証,実用化等を担当,12年より大阪工場へ異動し現在に至る.技術士(化学部門),上席化学工学技士(化学工学会認定).化学工学会,分離技術会,日本プラント・ヒューマンファクター学会会員.
さるわたり かずたか
猿 渡 和 孝 君
1991年九州大学工学部化学機械工学科卒業,93年同大学工学研究科修士課程修了.同年三井東圧化学(株)(現三井化学(株))入社,大阪工業所製造部配属,石油化学系プラントの改造,合理化等に従事.2001年業務改革推進室に異動,ERP導入プロジェクトに従事.05年に大阪工場製造部に異動,プラント建設~営業運転,製造課長に従事.13年大阪工場管理部へ異動,現在に至る.化学工学会会員.
えさき のりお
江 崎 宣 雄 君
1987年名古屋工業大学工学部合成化学科卒業.89年同大工学研究科博士前期課程物質工学専攻修了.同年三井東圧化学(株)(現三井化学(株))入社.プロセスシステムを活用したプロセス設計・運転支援・品質制御業務,工場の生産革新活動に従事.2012年本社エンジニアリング部へ異動.現在に至る.化学工学会会員.
受賞論文「ミラープラントの開発と実プラントへの適用」
ミラープラントは,横河電機(株) および(株) オメガシミュレーションが開発したオンラインパラメータ同定技術により,プラントの動的挙動を忠実に計算機上に再現するダイナミックシミュレータである.プラントモデルには,物理・化学則に従った厳密モデルを採用し,計測不可能なプラントの内部状態を可視化する.また,シミュレータを実時間より高速動作させることにより近未来を正確に予測する運転支援システムを実現した.設計データ,実データとシミュレーション値を比較しプロセスを詳細に解析することで,プラントが抱える課題を特定し,プロセスを安定化させるための制御性改善などの課題を革新的に解決する.実際に,三井化学(株)の商用プラントにミラープラントを適用し,実証試験を行い,ミラープラントの効果を確認した.
ミラープラントは,厳しい経営環境下で事業を継続するわが国プロセス産業の競争力を取り戻す基盤技術となることが期待される.
(著述賞)
さとう かずや
佐 藤 和 也 君(正会員)
1991年九州工業大学工学部制御工学科卒業,96年九州工業大学大学院博士後期課程修了,同年佐賀大学理工学部講師,99年同大助教授,2007年同大准教授.制御工学の教育・研究に従事(博士(工学)),日本機械学会,システム制御情報学会,IEEEなどの会員.計測制御エンジニア(エンジニア).
ひらもと かずひこ
平 元 和 彦 君(正会員)
1994年秋田大学大学院鉱山学研究科修士課程修了.同年同大学鉱山学部機械工学科文部技官.同大学工学資源学部助手,2000年同学部助教授を経て,10年より新潟大学大学院自然科学研究科准教授,現在に至る.この間,03年~04年ヒューストン大学客員研究員.博士(工学).制御系設計理論とその機械システムの制御,ロボティクスおよびバイオメカニクスへの応用に関する研究・教育に従事.日本機械学会などの会員.
ひらた けんじ
平 田 研 二 君(正会員)
1994年九州工業大学工学部卒業.99年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科 博士後期課程 修了 (情報システム学専攻).同年大阪大学大学院工学研究科助手. 2006年長岡技術科学大学機械系准教授.2008-09年カリフォルニア大学サンタバーバラ校Visiting Research Scholar, 12-13年 同Academic Research Visitor.拘束条件を有するシステムやハイブリッドシステムの解析と制御, 情報通信を利用した制御系の設計や応用, 分散型エネルギー需給システムの制御などの研究に従事.
受賞図書「はじめての制御工学(2010年・(株)講談社)」
本書は,古典制御を体系的に「はじめて学ぶ」人々が手にとることを想定して執筆された.内容を厳選し,講義での利用を想定して内容を14回に区切り,それぞれが1回の講義時間で適切となるよう配分している.最初に微分方程式の意味と制御工学とのつながりを説明し,続いてラプラス変換の必然性について説明されている.さらにはPID制御法やループ整形法など実際の制御系設計に必要な考え方,設計方法についてまで,流れよく古典制御に馴染める工夫がなされている.読者の直感的な理解の助けとなるよう.図やグラフをふんだんに用いていることも本書の特徴といる.各講義には演習問題があり,その解答がかなり詳しく丁寧に載せてあるため,自習する読者にとっても大きな助けとなっている.「まえがき」にもあるとおり「初学者が『ひとまずこれだけのポイントは理解できた』と感じてもらう」ことを具現化した著作である.
(著述賞)
こさか まなぶ
小 坂 学 君(正会員)
1989年大阪府立大学工学部電子工学科卒業,91年同大学院工学研究科電子工学専攻博士前期課程修了,同年~2001年ダイキン工業(株)電子技術研究所.1999年同大学院工学研究科電気情報系専攻博士後期課程修了.2001年近畿大学理工学部講師,06年同助教授,11年同教授,現在に至る.07~08年英国ボーンマス大学客員研究員.モーションコントロールと制御応用に関する研究・教育に従事.博士(工学).システム制御情報学会,日本機械学会,ASMEなどの会員.
受賞図書「高校数学でマスターする制御工学~本質の理解からMat@Scilabによる実践まで(2012年・(株)コロナ社)」
制御工学で何ができるのか?そのために何をすればいいのか?その手順・方法は?制約は?その答えは本書の「わかる編」に書かれている.そして,わかったことをしっかり納得するためには理論的裏付けが必要である.それは「ナットク編」にあり,高校数学で理解できるように工夫されている.さらに現場の泥臭い制御設計例が「役立つ編」にあり,MATLABシミュレーションで実感できる.
筆者は,企業で10年間,大学で10年以上の間,制御工学の教育と研究を続けている.この経験を生かし,企業の現場で役立っているものに内容を厳選し,実例を示しながら実際のモノのイメージが頭に浮かび,物理的な意味を把握できるようにしている.式番号や図番号を参照するときはその式や図が載っている頁番号も併記している.また,SCILABにMat@Scilabというフリーソフトを組み合わせると,本書で使用しているMATLABの関数をすべて無料で実行できる.
(新製品開発賞)
受賞製品「燃焼安全制御機器バーナコントローラRXシリーズ」
アズビル株式会社 殿
燃焼安全制御機器バーナコントローラRXシリーズは,工業用燃焼設備の燃焼安全制御を行うモジュール構造のコントローラであり,バーナインターロックモジュールとバーナコントロールモジュールを組合せて,工業炉におけるさまざまな運転方式や点火方式に対応可能である.さらに,JIS B 8415「工業用燃焼炉の安全通則」への適合や国際安全基準に合致した安全制御がプログラミング作業なしで,容易に構築できる.
また,本製品は,産業界の安全性向上および促進を視野に入れ,中外炉工業株式会社殿と共同開発を行い,設備設計者の視点からも仕様検討を行なった.その結果,さまざまな種類の工業炉に適用が可能となり,工業炉の現場における課題解決力を強化し,お客さまの安心,安全の実現に貢献できる製品として高い評価を得ている.
(新製品開発賞)
受賞製品「DTSX 200 光ファイバ温度センサ」
横河電機株式会社 殿
「DTSX200光ファイバ温度センサ」は,重質油,オイルサンド,シェールオイルやシェールガスといった非在来型の石油・ガス資源開発の採掘現場向けに開発された分布型光ファイバ温度センサで,地層内あるいは油・ガス井の温度分布を知ることでその生産性向上に寄与する.弊社が有する生産制御や採掘現場に関するノウハウ,信頼性技術および光計測技術などの粋を集めて開発されたもので,従来製品にはないきわめて高い信頼性,耐環境性を実現し,生産制御システムを扱うメーカーとして初めて開発した.本製品の代表的な特長としては,
1)生産制御システムとの高い親和性
2)過酷な使用環境に対応
3)小型・軽量,低消費電力を実現
などがあげられる.特に,資源開発現場のような過酷な環境下(高温~低温,腐食性/可燃性ガス雰囲気など)でしかも通信や電力インフラが整備されていない場所での使用を考慮したものである.
アウトドアソリューションへの対応,油・ガス井の深部における高温部の温度測定性能,通信インタフェイスにおけるセキュリティ対応などに関して,オイルメジャーやシステムインテグレータから高い評価を受けている.
(国際標準化賞 功績賞)
やまだ ようじ
山 田 陽 滋 君(正会員)
1983年3月名古屋大学大学院博士前期課程修了.同年4月豊田工業大学助手勤務.92年工学博士(東京工業大学).93年4月豊田工業大学助教授.同年,Stanford University 客員研究員を経験.2004年4月産業技術総合研究所知能システム研究部門安全知能研究グループ長.08年4月名古屋大学大学院工学研究科教授(機械理工学専攻).経済産業省 新規分野・産業競争力強化型国際標準提案事業「サービスロボットの安全性等国際標準化に関する調査研究」委員長
対象国際標準規格名:
「ISO10218:1992 Manipulating industrial robots ? Safety」,「ISO10218-1: 2007 Robots for industrial environments -Safety requirements ? Part 1: Robots」など.
2006年出版の「ロボット及びロボット装置-産業用ロボットの安全要求事項-第1部:ロボット」(その後,2011年に再度改訂)は,製造環境を対象とした産業用ロボットのライフサイクルを通しての安全性確保のために要求される設計上の技術要件を与えたものである.同規格5.10節に表されている技術要件を満たせば,1992年出版「産業用マニプレータロボットの安全」と比較して,ロボットの自動運転中でも,人間との協調作業が許される点が,大きく異なっている.
(国際標準化賞 奨励賞)
みやた ひろし
宮 田 宏 君(正会員)
1988年3月北海道大学理学部地誌学鉱物学科卒業.2001年4月横河電機株式会社入社.現在,同IA-MK本部テクノロジMK室マネージャ.IPv6 Forum fellow,IPv6 Ready Logo Committee Technical Officer兼アジア代表, IPv6普及・高度化推進協議会サーティフィケーションWG副主査.IEC/TC65/WG17国際エキスパートおよび国内委員会委員. IEC/SC65E/JGW5国際エキスパートおよび国内委員会委員.
対象国際標準規格名:
「RFC 6052: IPv6 Addressing of IPv4/IPv6 Translators」,「RFC 6144: Framework for IPv4/IPv6 Translation」,「RFC 6145: IP/ICMP Translation Algorithm」,「ISA-TR100.15.01-2012 Backhaul Architecture Model: Secured Connectivity over Untrusted or Trusted Networks」
IETFにおいて,2009年よりIPv4機器とIPv6機器間の相互接続性を提供するための変換機の仕様策定に携わり,その国際標準化に貢献した.また,IPv6 Forumで運営する世界で唯一のIPv6対応機器の認証プログラムであるIPv6 Ready Logo Programの検査仕様の策定に取り組み,将来にわたるInternetの相互接続性を向上させることで,その持続的発展に貢献してきた.さらに,ISA100のWG15に参画し,プラント内におけるネットワークの安全性,信頼性向上に貢献してきた.